福岡県宮若市と福岡市早良区を結ぶ旧道にあった廃トンネル。1975年に開通したが、1988年に新犬鳴トンネルの完成により廃道となった。1988年に発生した殺人事件の現場として全国的に知られ、被害者の霊や事件関係者の霊が目撃される九州最恐の心霊スポットとして恐れられていた。
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福岡県宮若市と福岡市早良区を結ぶ旧道にあった廃トンネル。1975年に開通したが、1988年に新犬鳴トンネルの完成により廃道となった。1988年に発生した殺人事件の現場として全国的に知られ、被害者の霊や事件関係者の霊が目撃される九州最恐の心霊スポットとして恐れられていた。現在は完全に封鎖されているが、その凄惨な事件の記憶とともに全国の心霊愛好家に語り継がれている。
歴史的背景
旧犬鳴トンネルは1973年から1975年にかけて建設された全長約450メートルのトンネルで、福岡市と宮若市(旧宮田町)を結ぶ重要な交通路として機能していた。建設当初は地域の生活道路として多くの車両が通行していたが、急カーブと急勾配のため交通事故が頻発していた。1988年2月に新犬鳴トンネルが開通すると旧トンネルは廃道となったが、同年12月に日本の犯罪史に残る凶悪事件が発生した。大学生5名のグループがトンネル内でカップル2名を襲撃し、男性を殺害、女性を暴行した後に車に火を放つという残忍な事件であった。この事件により旧犬鳴トンネルは全国的な悪名を轟かせることとなった。事件後は宮若市と福岡市により完全封鎖され、現在は両端にコンクリート壁が設置されている。1990年代初頭から事件の被害者や関係者の霊が目撃されるようになり、全国から心霊愛好家が訪れる聖地的存在となった。この事件は後に映画化もされ、日本の心霊スポット史上最も有名な事件現場の一つとして位置づけられている。
怪奇現象・体験談
旧犬鳴トンネルでは、1988年の殺人事件に関連した凄惨な心霊現象が数多く報告されている。最も恐れられているのは、トンネル内に現れる血まみれの青年の霊で、事件の被害者とされる男性が苦痛に歪んだ表情で立っているという目撃談が多数ある。また、トンネル内では事件当夜の悲鳴や車のエンジン音、炎の音などが夜な夜な響き渡るとされている。
最も衝撃的な体験談として、封鎖を破ってトンネル内に侵入した心霊調査グループが、トンネルの奥で燃え上がる車を目撃し、その車の中から「助けて」「痛い」という男性の声を聞いたという証言がある。また、トンネル入口付近で写真撮影を行った際、フラッシュが発光した瞬間にトンネル内に大学生風の男性5名と若いカップルの人影が浮かび上がり、その全員が撮影者の方を見つめていたという恐怖体験も報告されている。さらに、トンネル周辺では深夜に事件当夜と同じ車種の車が現れ、中から複数の若い男性が降りてくるという幻覚現象も目撃されている。地元住民の間では「このトンネルには事件の怨念が込められており、近づく者には必ず祟りが降りかかる」「特に被害者の霊は、自分を殺した犯人たちへの復讐心で成仏できずにいる」といった恐ろしい伝承が根強く残っている。また、事件現場を訪れた者が後に不幸な事故に遭うという「犬鳴の呪い」も語り継がれている。
メディア・文献情報
旧犬鳴トンネルは事件発生直後から全国ニュースで大きく取り上げられ、1990年代以降は心霊番組でも頻繁に紹介されるようになった。フジテレビの「あなたの知らない世界」やテレビ朝日の「最恐映像ノンストップ」などで詳細な検証番組が制作され、事件の詳細とともに心霊現象についても報告された。心霊研究家の中岡俊哉氏、木原浩勝氏、池田武央氏らが実地調査を行い、複数の著書でこのトンネルを「日本最恐のスポット」として詳述している。全国の心霊スポットランキングでは常に上位3位以内にランクインしており、心霊関連書籍では必ず言及される定番スポットとなっている。事件を題材とした映画「ほんとにあった怖い話」シリーズでも取り上げられ、広く一般にも知られることとなった。インターネット時代になってからも体験談投稿サイトで最も話題になるスポットの一つとなり、YouTubeでも数百本の検証動画が投稿されている。海外でも「Japan's Most Notorious Murder Site」として紹介されることがあり、国際的な知名度も獲得している。
現地の状況・注意事項
現在の旧犬鳴トンネルは宮若市と福岡市により厳重に封鎖されており、両端に高さ3メートルのコンクリート壁が設置されている。「立入禁止」「危険」の看板が多数設置され、監視カメラも複数台設置されている。トンネル内部は30年以上放置されているため、天井の崩落や路面の陥没が進行しており、侵入した場合は生命に関わる危険がある。また、トンネル内は完全な暗闇で、有毒ガスの発生や酸素不足の可能性もある。法的には不法侵入罪および器物損壊罪が適用され、両市は24時間体制の警備を実施している。事件現場という特殊性から、警察による取り締まりも特に厳格に行われている。周辺は山間部のため携帯電話の電波が不安定で、緊急時の連絡が取れない可能性が高い。また、クマやイノシシなどの野生動物も多く、物理的な危険も存在する。近年では無人機(ドローン)による空撮も禁止されており、違反者には厳しい処罰が科せられる。事件の被害者遺族への配慮から、現地での騒音や不謹慎な行為は特に厳しく取り締まられている。
訪問のポイント
現在は完全に立入禁止のため、トンネル外部からの見学のみが可能である。ただし、事件現場という性質を考慮し、被害者への敬意を持った行動が求められる。アクセスはJR筑豊本線直方駅から西鉄バス犬鳴ダム行きで約30分、終点下車後徒歩約20分である。自家用車の場合は九州自動車道若宮ICから約20分だが、周辺道路は非常に狭く、大型車の通行は困難である。駐車場は存在しないため、路上駐車は交通の妨げとなり危険である。周辺には犬鳴ダムや脇田温泉などの観光地もあり、一般観光と組み合わせることも可能である。ただし、絶対にトンネル内部への侵入は行わず、外部からの見学に留めることが重要である。また、事件の被害者やその遺族への敬意を忘れず、不謹慎な行為や発言は慎むべきである。訪問時は事件の悲惨さを忘れず、冥福を祈る気持ちを持って行動することが最も大切である。不法侵入は重大な犯罪行為であり、かつ生命に関わる極めて危険な行為であることを十分に認識し、法律と安全性、そして人道的配慮を最優先に行動する必要がある。