福島の静かな山中に、時が止まったかのように佇む巨大な廃墟がある。それが「常葉少年自然の家」だ。かつて子供たちの元気な声が響いていたこの施設は、閉鎖から20年以上の歳月を経て朽ち果て、今や県内最恐とも呼ばれる心霊スポットへと変貌した。建物内を彷徨う子供の霊、鳴り響く謎の物音。
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福島の静かな山中に、時が止まったかのように佇む巨大な廃墟がある。それが「常葉少年自然の家」だ。かつて子供たちの元気な声が響いていたこの施設は、閉鎖から20年以上の歳月を経て朽ち果て、今や県内最恐とも呼ばれる心霊スポットへと変貌した。建物内を彷徨う子供の霊、鳴り響く謎の物音。その不気味な噂は後を絶たず、多くの肝試し好きを引きつけては、恐怖の底へと突き落としている。
歴史的背景
「常葉少年自然の家」は、1976年(昭和51年)に青少年の健全な育成を目的として開設された福島県の施設だった。広大な敷地には宿泊棟や研修棟、体育館、キャンプファイヤー場などが整備され、多くの子供たちが自然体験活動の拠点として利用していた。未来を担う子供たちの笑顔であふれていた場所は、しかし、施設の老朽化や利用者の減少を理由に2002年(平成14年)3月をもって、その歴史に幕を下ろす。
閉鎖後、施設は解体されることもなく放置され、急速に荒廃。窓ガラスは割られ、壁には落書きが刻まれ、見る影もなく朽ち果てていった。この荒れ果てた姿が不気味さを呼び、いつしか「一家惨殺事件があった」「所長が自殺した」といった根も葉もない噂が囁かれるようになる。これらのショッキングな噂と廃墟特有の雰囲気が相まって、常葉少年自然の家は福島を代表する心霊スポットとして広く知られることとなった。
怪奇現象・体験談
この場所では、特に閉鎖される前の施設の姿を思わせるような、子供の霊に関する現象が多く報告されている。
- 少年少女の霊 最も有名な噂が、少年少女の霊の目撃談だ。特に2階の研修室や長い廊下でその姿が目撃されることが多いという。「暗い廊下の突き当たりに、複数の子供がこちらをじっと見ていた」「誰もいないはずの部屋の窓から、少女が手を振っていた」など、背筋が凍るような体験談が数多く存在する。
- 説明のつかない音 広大な施設内では、侵入者の度肝を抜く不可解な音が頻繁に聞こえると言われている。誰もいない上階から聞こえる足音、勝手に開閉するドアの音、壁を叩く音、そして子供たちのひそひそ話のような声。静寂に包まれた廃墟だからこそ、その音はより一層の恐怖を掻き立てる。
- 車両トラブルと手形 施設の駐車場や周辺の道路では、心霊スポットの定番ともいえる車両トラブルの報告も多い。「帰ろうとしたら車のエンジンが急にかからなくなった」「カーステレオから不気味なノイズが流れた」といった現象のほか、「恐怖を感じて車に戻ると、窓ガラスにびっしりと小さな手形がついていた」という、非常に印象的な体験談も語られている。
メディア・文献情報
常葉少年自然の家は、テレビ番組で大々的に取り上げられることは少ないものの、インターネットの普及と共にその知名度を全国区に広げた心霊スポットである。個人の心霊体験ブログやまとめサイトでは必ずと言っていいほど「福島最強クラス」として紹介される。また、動画共有サイトには数多くの心霊系YouTuberが潜入・検証動画を投稿しており、その再生回数の多さが話題性の高さを物語っている。
現地の状況・注意事項
- 現在の状況: 建物は閉鎖から長い年月が経過し、崩壊が進んでいる極めて危険な状態。内部はガラスや瓦礫が散乱し、床が抜け落ちている箇所もある。アスベストが使用されている可能性も高く、健康被害のリスクも指摘されている。
- 立入禁止区域: この施設は福島県の所有地であり、現在は厳重に立入が禁止されている。入口は強固なバリケードで封鎖されており、不法侵入は犯罪となる。監視カメラが設置されているとの情報もあり、絶対に入ってはならない。
- 安全上の注意点: 前述の通り、建物は倒壊の危険性が非常に高い。もし侵入すれば、いつ床が抜けても、天井が落ちてきてもおかしくない状況。物理的に命の危険がある場所だと認識する必要がある。
- マナー・ルール: 不法侵入は論外。周辺は静かな山間部であり、面白半分で訪れて騒ぐ行為は近隣住民への多大な迷惑となる。この場所に興味を持つ場合でも、法とマナーを遵守することが絶対条件である。
訪問のポイント
現在、施設敷地内への立ち入りは固く禁じられているため、訪問することはできない。 遠くから建物を眺めることも、近隣住民への配慮や不法侵入を疑われるリスクを考えると推奨できない。このスポットに関しては、インターネット上の情報や動画でその雰囲気を知るに留めておくべきである。
周辺に特筆すべき関連スポットはない。興味本位でこの地を訪れることは、法を犯し、自らを危険に晒し、地域に迷惑をかけるだけの行為である。