【岐阜・解体済】古津楽苑(ホワイトスラム)…焼身自殺の怨念、白亜の廃墟に響いた謎の音 岐阜市の山中に、かつてその純白の外観とは裏腹に、おぞましい噂が囁かれる巨大な廃墟がありました。「古津楽苑(ふるつらくえん)」、あるいは、その異様な姿から「ホワイトスラム」とも呼ばれたこの場所は、
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【岐阜・解体済】古津楽苑(ホワイトスラム)…焼身自殺の怨念、白亜の廃墟に響いた謎の音
岐阜市の山中に、かつてその純白の外観とは裏腹に、おぞましい噂が囁かれる巨大な廃墟がありました。「古津楽苑(ふるつらくえん)」、あるいは、その異様な姿から「ホワイトスラム」とも呼ばれたこの場所は、経営者が焼身自殺したという伝説と共に朽ち果て、東海地方でも屈指の心霊スポットとして知られていました。今はもうその姿を消した白亜の館に、一体どのような絶望が渦巻いていたのでしょうか。
噂される怪奇現象と有名な体験談
廃墟であった当時、この場所では、その場所に囚われた魂たちの仕業とされる、数々の心霊現象が報告されていました。
- オーナーが焼身自殺したとされる部屋で、黒い人影や、男性のうめき声が聞こえる。
- 誰もいないはずの廊下や階段を、何者かが歩き回る足音が聞こえる。
- 壁やドアを、内側から激しく叩くようなラップ音が鳴り響く。
- 窓という窓に、こちらを覗き込む白い顔が浮かび上がる。
- 敷地内に足を踏み入れると、急激な頭痛や吐き気、そして強い圧迫感に襲われる。
- 撮影した写真に、無数のオーブや、白い靄(もや)のようなものが写り込む。
最も有名な伝説「炎に消えたオーナーの霊」
この廃墟を象徴するのが、「オーナーの焼身自殺」の伝説です。その昔、この施設のオーナーが多額の負債を抱え、経営難を苦に、館の一室でガソリンをかぶり、自らの体に火を放って壮絶な最期を遂げた、と噂されています。
それ以来、オーナーの無念の魂は成仏できず、自らが作り上げたこの場所を彷徨い続けていると言われていました。「深夜、焼身自殺があったとされる部屋の窓だけが、赤く燃えているように見えた」「『なぜだ…』という、男性の深い絶望に満ちた声が、どこからともなく聞こえてきた」など、彼の苦しみを物語るかのような、生々しい恐怖体験が数多く報告されていました。
鳴りやまないラップ音
この廃墟のもう一つの特徴が、館内の至る所で聞こえるという「ラップ音」でした。誰もいないはずなのに、「コンコン」「ドン、ドン!」と、壁やドアを叩く音が、静寂を切り裂いて響き渡るのです。
一説には、これはオーナーの霊が、招かれざる侵入者に対して威嚇し、出ていくように警告している音なのだと言われています。また、別の説では、この地に棲み着いた他の浮遊霊たちが、自らの存在を知らせるために音を立てているのだとも言われています。いずれにせよ、その音は、訪れる者の神経をすり減らし、恐怖のどん底へと突き落としました。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
古津楽苑の成り立ち
「古津楽苑」という優雅な名前を持つこの建物は、昭和の時代に、企業の保養所や旅館として建設されたものと考えられています。山の中腹に建てられ、当時は眼下の景色を楽しみながら、多くの人々が憩いのひとときを過ごした場所だったことでしょう。
しかし、その後のバブル経済の崩壊や、施設の老朽化といった要因が重なり、営業を停止。その後、再利用されることもなく、長年にわたって放置され、その真っ白で無機質な外観から、いつしか「ホワイトスラム」という不名誉な通称で呼ばれる、巨大な廃墟と化していきました。
心霊スポットになった“きっかけ”
この場所が心霊スポットになったきっかけは、廃墟化し、その特異な雰囲気が注目されるようになってからです。
「オーナーが焼身自殺した」という、この場所の恐怖の核心をなす物語ですが、これを裏付ける公的な事件記録や報道は確認されていません。
これは、山中に突如として現れる、窓が黒く抜け落ちた巨大な白い廃墟を前にした人々が、「これほどの場所が、ただ寂れただけのはずがない」と考え、最も悲劇的で衝撃的な物語を創作し、結びつけた結果生まれた「都市伝説」である可能性が極めて高いのです。「古津楽苑(古き港の楽園)」という美しい名前と、「ホワイトスラム」という荒廃した通称。この強烈なギャップが、人々の想像力を掻き立て、強力な心霊スポットを誕生させたのです。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
単なる保養所の廃墟が、なぜこれほどまでに人々を恐怖させたのでしょうか。それは、この場所が**「名前」と「外観」にまつわる、強烈な物語性**を持っていたからです。
- 歴史的要因: この場所の歴史は、昭和の経済成長が生み出した「夢」と、その後の「崩壊」を象言しています。「古津楽苑」という名前には、建設当時の華やかで楽観的な未来への希望が込められています。しかし、その夢が破れ、廃墟と化した現実は「ホワイトスラム」という蔑称で呼ばれる。この「楽園からスラムへ」という転落の物語そのものが、訪れる者の心に深い哀愁と、失われたものへの恐怖を感じさせるのです。
- 地理的・環境的要因: 山の中腹に孤立して建つ、巨大な白い建造物。この周囲の自然の「緑」と、建物の「白」との強烈なコントラストが、異様な存在感を際立たせていました。夜になれば、黒い森を背景に、月明かりに照らされた白い廃墟がぼんやりと浮かび上がる光景は、それ自体が完璧なホラーのワンシーンでした。
- 心理的要因: 「焼身自殺」という物語は、人間の死の中でも特に凄惨で、強烈なイメージを伴います。この先入観を持って訪れると、人は風の音を「オーナーのうめき声」と、建物の軋む音を「ラップ音」と、無意識に結びつけてしまいます。「ホワイトスラム」という、どこか差別的で暴力的な響きを持つ通称もまた、訪れる者の心に「ここは危険な場所だ」という強い暗示をかけ、恐怖体験を引き起こす引き金となっていたのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 【最重要】建物は全て解体済み: 心霊スポットとしてあまりにも有名になった「古津楽苑(ホワイトスラム)」ですが、老朽化による倒壊の危険性などから、2017年~2018年頃に完全に解体・撤去されました。現在は更地になっており、当時の面影は一切残っていません。
- 私有地・立入禁止: 跡地は現在も私有地であり、関係者以外の立ち入りは固く禁じられています。
- 周辺道路: 跡地に至る道は、細い山道であり、車両での通行には注意が必要です。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 絶対に不法侵入しない: 建物はもう存在せず、跡地は管理された私有地です。興味本位で立ち入ることは、住居侵入罪(建造物等侵入罪)にあたる犯罪行為です。
- ネットの古い情報を鵜呑みにしない: 現在も廃墟が存在するかのような古い情報や動画を信じて、危険な山道に無駄足を踏まないようにしてください。
- 故人への敬意: たとえ伝説上の人物であっても、この場所で亡くなったとされるオーナーを冒涜するような言動は厳に慎んでください。
まとめ
「古津楽苑」の恐怖の物語は、昭和という時代の夢の跡が生み出した、哀しき都市伝説でした。建物が解体された今、そこに囚われていたとされるオーナーの魂は、ようやく安息の地を見つけられたのでしょうか。その答えを知る者は、もう誰もいません。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- 金華山(きんかざん) 古津楽苑跡地のある岐阜市にそびえる、織田信長の居城「岐阜城」があった山。天下布武の夢の舞台であると同時に、数多の合戦でおびただしい血が流された古戦場でもあります。そのため、今もなお、深夜の山中を甲冑姿の落ち武者が行軍している、との噂が絶えません。
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