【兵庫・解体済】ホテル 5th avenue…密室の惨劇、六甲山に消えた呪われし廃墟 神戸市北区、六甲の山々を貫く有馬街道の闇の中に、かつて異彩を放つ一軒の廃ホテルがありました。その名は「ホテル 5th avenue」。
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【兵庫・解体済】ホテル 5th avenue…密室の惨劇、六甲山に消えた呪われし廃墟
神戸市北区、六甲の山々を貫く有馬街道の闇の中に、かつて異彩を放つ一軒の廃ホテルがありました。その名は「ホテル 5th avenue」。恋人たちの密やかな城であったその場所は、一室で起きたとされる惨殺事件の噂と共に朽ち果て、訪れる者を恐怖に陥れる呪いの館として知られていました。今はもうその姿を消した廃墟に、一体どのような愛憎と怨念が渦巻いていたのでしょうか。
噂される怪奇現象と有名な体験談
廃墟であった当時、この場所では、そこで起きたとされる悲劇を物語るかのような、数々の生々しい心霊現象が噂されていました。
- 特定の客室の風呂場で、男に殺されたとされる女性の霊が姿を現す。
- 誰もいないはずの部屋から、男女が激しく争う声や、女性の悲鳴が聞こえる。
- 部屋の隅に置かれた揺り椅子が、誰も触れていないのに、ギシギシと音を立てて揺れ続けている。
- 経営を苦に自殺したとされるオーナーの霊が、廊下や事務所を徘徊している。
- 敷地内に足を踏み入れると、急に空気が重くなり、強い憎悪の感情に襲われる。
- 撮影した写真に、血のような赤いシミや、苦悶の表情を浮かべた顔が写り込む。
最も有名な伝説「風呂場に消えた女の霊」
この廃墟を象徴するのが、「客室の風呂場で起きた殺人事件」の伝説です。その昔、このホテルの一室で、不倫関係にあった男女が口論の末、男が女を殺害。その亡骸を風呂場のバスタブに沈め、証拠を隠滅しようとした、というものです。
それ以来、事件が起きたとされる部屋の風呂場では、無念の死を遂げた女性の霊が夜な夜な現れると言われていました。「バスタブを覗き込むと、黒い水の中から、髪の長い女が浮かび上がってきて、こちらに手を伸ばしてきた」「『離して…』という苦しそうな声が、ユニットバス全体に響き渡った」など、彼女の断末魔の苦しみを追体験するかのような、強烈な恐怖体験が数多く報告されていました。
ひとりでに揺れる呪いの椅子
もう一つ、このホテルで有名な怪奇現象が「ひとりでに揺れる揺り椅子」です。特定の部屋に置かれていたというその古い揺り椅子は、人が近づくと、まるで誰か見えない“何か”が座っているかのように、ゆっくりと、あるいは激しく揺れ始めるのだと言います。
一説には、それは殺された女性の霊が、生前気に入っていた椅子に座って、自分を殺した男を待ち続けている姿なのだと噂されています。また、別の説では、絶望したオーナーの霊が、ただ無心に椅子を揺らし続けているのだとも言われています。いずれにせよ、その光景を目にした者は、声にならない恐怖に襲われるのです。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
ホテル 5th avenueの成り立ち
「ホテル 5th avenue」は、その独特の佇まいから、昭和の後期(1970年代~80年代)に建設された、いわゆる「ラブホテル」であったと考えられています。六甲山系を越える有馬街道沿いという立地から、当時はドライブを楽しむカップルなどに利用されていたことでしょう。
しかし、建物の老朽化や、時代の変化による利用者の減少といった要因が重なり、おそらく1990年代には営業を停止。その後、解体されることもなく、所有者からも放置され、山中の巨大な廃墟として、その不気味な姿を晒し続けることになりました。
心霊スポットになった“きっかけ”
この場所が心霊スポットになったきっかけは、廃墟化し、その特異な雰囲気が注目されるようになってからです。
「客室での殺人事件」や「オーナーの自殺」といった、この場所の恐怖の核心をなす物語ですが、これらを裏付ける公的な事件記録や報道は確認されていません。
これらは、「ラブホテル」という場所が持つ「密室性」「男女の愛憎劇」といったイメージと、「廃墟」が持つ「荒廃」「死」のイメージが結びついて生まれた、極めて強力な都市伝説である可能性が高いのです。「いわくつきの部屋がある」という噂は、廃墟探索者の恐怖心と好奇心を刺激し、噂が噂を呼ぶ形で、関西でも有数の危険な廃墟として知られるようになりました。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
数ある廃墟の中でも、なぜ「廃ラブホテル」は特に強烈な心霊スポットとして語られるのでしょうか。その背景には、人間の感情と記憶が深く関わっています。
- 歴史的要因: 昭和の経済成長が生み出した「密会の城」が、時代の終わりと共に打ち捨てられ、朽ち果てていく。この「華やかな時代の墓標」という側面が、廃墟全体に物悲しい雰囲気を与えます。そこに「殺人」という、人間の感情のもつれの果てにある最も暴力的な物語が加わることで、単なる廃墟ではない、因縁が渦巻く場所へと昇華されるのです。
- 地理的・環境的要因: 多くのラブホテルがそうであるように、人目を避けるように山道沿いにポツンと建てられています。この「隔絶された」立地が、廃墟となった後には、外界から切り離された恐怖の密室空間を演出します。特に、森や藪に飲み込まれ、自然に還りつつあるその姿は、文明の死骸のようにも見え、見る者に本能的な恐怖を与えます。
- 心理的要因: ラブホテルは、人間の最も濃密な感情(愛情、欲望、嫉妬、時には憎悪)が渦巻く場所です。廃墟となった後も、その「記憶」が染み付いているように感じられます。ベッドや鏡、風呂場といった、極めてプライベートで生々しい備品が残された室内は、訪れる者に強い背徳感と、誰かの生活を覗き見しているかのような感覚を与えます。その心理状態が、些細な物音や気配を、そこにいたはずのない誰かの怨念として感じ取らせてしまうのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 【最重要】建物は全て解体済み: 心霊スポットとして有名だった「ホテル 5th avenue」の廃墟は、2019年~2020年頃に完全に解体・撤去されており、現在は更地(資材置き場など)になっています。 かつての建物は一切残っていません。
- 私有地・立入禁止: 跡地は現在も私有地であり、関係者以外の立ち入りは固く禁じられています。
- 周辺道路: 跡地は交通量のある有馬街道沿いです。路上駐車などは大変危険です。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 絶対に不法侵入しない: 建物はもう存在せず、跡地は管理された私有地です。興味本位で立ち入ることは、住居侵入罪(建造物等侵入罪)にあたる犯罪行為です。
- ネットの古い情報を鵜呑みにしない: 現在も廃墟が存在するかのような古い情報や動画を信じて、無駄足を踏まないようにしてください。
- 故人への敬意: たとえ伝説上の人物であっても、この場所で亡くなったとされる方々を冒涜するような言動は厳に慎んでください。
まとめ
ホテル 5th avenueの恐怖の物語は、廃墟の解体と共に、物理的には終わりを告げました。しかし、密会の記憶と愛憎の伝説が渦巻いていたあの場所の記憶は、これからも都市伝説として語り継がれていくでしょう。跡地にはもう何もありませんが、その場所に眠る魂たちの安寧を、決して乱してはなりません。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- 烏原トンネル(からすはらとんねる) ホテル 5th avenue跡地から近い、神戸市兵庫区の烏原貯水池の近くに存在する、明治時代に造られた古いトンネル群。日本最古級の水道トンネルとも言われ、建設工事の犠牲者の霊や、路面電車の格好をした霊が出ると噂されています。近代化の歴史の影に眠る、もう一つの心霊スポットです。
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