二曲城跡 - 悲劇の姫の嘆きが響く、もう一つの「最後の砦」 加賀一向一揆、最後の砦「鳥越城」の対岸に築かれ、同じく悲劇的な運命を辿った支城「二曲城跡」。織田軍の猛攻によって一族もろとも滅ぼされ、この地でその生涯を閉じたと伝わる城主の娘「二曲姫」の悲しき伝説が、今もなお夜の山に響き渡ると言います。
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二曲城跡 - 悲劇の姫の嘆きが響く、もう一つの「最後の砦」
加賀一向一揆、最後の砦「鳥越城」の対岸に築かれ、同じく悲劇的な運命を辿った支城「二曲城跡」。織田軍の猛攻によって一族もろとも滅ぼされ、この地でその生涯を閉じたと伝わる城主の娘「二曲姫」の悲しき伝説が、今もなお夜の山に響き渡ると言います。静寂を破るその声の主は、400年以上の時を超え、一体何を訴え続けているのでしょうか。
噂される怪奇現象と有名な体験談
- 深夜、城跡で女性のすすり泣きや、悲しげな歌声のようなものが聞こえる。
- 討ち死にした武士や農民兵の霊が、甲冑や野良着姿で彷徨っている。
- 山頂の本丸跡付近で、黒いモヤや、その中に浮かぶ異形の顔が目撃される。
- 暗闇に、無数の火の玉が飛び交うことがある。
- 石碑の前で写真を撮ると、不可解な光が写り込んだり、データが破損したりする。
- 敷地内では、異常な冷気や、原因不明の体調不良に襲われることがある。
夜の山に響く二曲姫の嘆き
この城跡における心霊譚の核となっているのが、落城と共に悲劇の運命を辿ったとされる「二曲姫」の存在です。一族が滅ぼされるのを目の当たりにし、この地で自害したとも、あるいは出家して一族の菩提を弔い続けたとも伝わる、悲運の姫君。夜、静まり返った城跡に耳を澄ますと、女性のすすり泣きや、この世のものとは思えぬ物悲しい声が聞こえてくるというのです。それは、故郷と家族を一夜にして失った、二曲姫の魂の叫びなのかもしれません。
正体不明の黒いモヤと異形の顔
二曲城跡の山頂、本丸があったとされる場所では、特に不可解な現象が多発すると言われています。その代表格が、まとわりつくように現れる「黒いモヤ」。それは時に人型を成し、時にはただの霧のように空間を漂うと言います。さらに恐ろしいことに、その黒いモヤの中に、苦悶に満ちた無数の顔が浮かび上がって見えた、という証言も存在します。これは、この地で無念の死を遂げた者たちの、晴れることのない怨念の集合体なのでしょうか。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
二曲城跡の成り立ち
二曲城(ふとげじょう)は、戦国時代、加賀一向一揆の勢力が、本城である鳥越城を守るための重要な支城として、大日川の対岸に築いた山城です。標高約267mの山頂に本丸を構え、周囲に複数の郭や土塁を配した、防御に優れた構造を持っていました。現在は、鳥越城跡と共に国の史跡に指定されています。
心霊スポットになった“きっかけ”
この城跡が悲劇の舞台として語られるようになった原因は、本城である鳥越城と全く同じく、天正8年(1580年)の落城にあります。織田信長の命を受けた柴田勝家軍の猛攻を受け、二曲城もまた陥落。城主であった鈴木一族をはじめ、城内に立てこもった多くの兵士や門徒が、この地で討ち死に、あるいは捕らえられ処刑されたとされています。この「一族郎党、皆殺し」という凄惨な歴史に、城主の娘「二曲姫」の悲恋伝説が加わったことで、単なる古戦場跡ではなく、女性の悲しい怨念が渦巻く場所という、より情緒的で恐ろしいイメージが定着していったのです。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
本城である鳥越城と同様、この支城跡もまた、なぜこれほどまでに恐れられるのでしょうか。
- 歴史的要因: 鳥越城の悲劇と完全にリンクした歴史が、この場所の恐怖の根源です。「二曲姫」という、個人名を持つ悲劇のヒロインの存在が、心霊譚に強い物語性と感情移入を促しています。これにより、単に「武者の霊が出る」という話に留まらず、「姫の悲しい声が聞こえる」という、より具体的で胸に迫る怪談が生まれています。本城と支城、二つの城が同時に滅びたという事実が、悲劇性を倍増させているのです。
- 地理的・環境的要因: 鳥越城跡と同じく、人里から離れた山城跡という閉鎖的な環境が、恐怖の舞台装置として完璧に機能しています。夜間は照明が一切なく、完全な暗闇と静寂が支配します。馬蹄形に広がる複雑な地形で、夜間に訪れれば方向感覚を失いやすく、強い心理的圧迫を感じるでしょう。風の音や獣の鳴き声が、女性のすすり泣きと聞こえてしまう可能性は非常に高いと考えられます。
- 心理的要因: 「姫が自害した城」という先入観は、「女性の声が聞こえる」という幻聴を引き起こす強力な引き金となります。また、本城である鳥越城とセットで語られることが多いため、「鳥越城=怖い」という認識が、この二曲城跡への恐怖心をも自動的に増幅させています。石碑や井戸跡といった、往時を偲ばせる遺構は、過去の悲劇をよりリアルに想像させる装置として効果的に働きます。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 国の史跡として整備されていますが、山城であるため登山道は険しく、足元が悪い箇所が多数あります。
- 夜間は照明が一切なく、道も不明瞭になるため、転倒や滑落の危険性が非常に高まります。
- クマなどの大型野生動物が出没する可能性があります。特に単独での夜間訪問は絶対に避けるべきです。
- 災害復旧工事などで、一部立ち入りが制限されている場合があります。現地の警告看板には必ず従ってください。
心構えと絶対的なルール
- ここは、信仰と一族の誇りを守るために戦い、命を落とした人々が眠る鎮魂の地です。肝試し気分で訪れるべき場所ではありません。
- 史跡を破壊したり、ゴミを捨てたりする行為は厳禁です。
- 訪問する際は、歴史を学び、この地で亡くなった人々への敬意を払うことを忘れないでください。
まとめ
本城・鳥越城の影に隠された、もう一つの悲劇の舞台、二曲城跡。一族の滅亡と共に、その運命を翻弄されたとされる姫の伝説は、この山の静寂の中で今もなお、訪れる者の胸に悲しく響き渡るのです。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
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- 鳥越城跡: 二曲城の本城であり、加賀一向一揆終焉の地。300人以上が惨殺されたと言われ、「幻の祭囃子」が聞こえるという奇妙な噂で知られています。
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