【石川・能登金剛】巌門…荒波が穿つ魔の洞窟、水底から手招きする“何か” 石川県能登半島、日本海の荒波が作り出した海岸景勝地「能登金剛」。その中心に、まるで巨大な獣が口を開けているかのような、不気味な洞門があります。「巌門(がんもん)」。
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【石川・能登金剛】巌門…荒波が穿つ魔の洞窟、水底から手招きする“何か”
石川県能登半島、日本海の荒波が作り出した海岸景勝地「能登金剛」。その中心に、まるで巨大な獣が口を開けているかのような、不気味な洞門があります。「巌門(がんもん)」。松本清張の名作『ゼロの焦点』の舞台ともなったこの場所は、その美しい景観とは裏腹に、洞窟の奥に無数の霊魂が蠢き、訪れる者を水底へと誘う、能登半島屈指の心霊スポットです。
噂される怪奇現象と有名な体験談
自然の脅威と、数多の死の記憶が渦巻くこの場所では、その歴史を物語るかのような、数々の心霊現象が報告されています。
- 洞門の奥の暗がりから、こちらを睨みつける、複数の光る目が目撃される。
- 深夜、崖下の海面から、助けを求める無数の白い手が伸びてくる。
- 誰もいないはずなのに、洞門の中から、女性のすすり泣きや、武士のうめき声が聞こえる。
- 潮が満ちてくる時間帯になると、洞門内部から、波音とは異なる不気味な声や、異様な悪寒を感じる。
- 崖の上を歩いていると、何者かに肩を叩かれたり、背中を押されたりする。
- 撮影した写真に、おびただしい数のオーブや、洞窟の壁に浮かぶ人の顔のようなものが写り込む。
最も有名な伝説「洞窟の奥に潜む“何か”」
この巌門を、単なる景勝地ではない、特別な畏怖の対象たらしめているのが、「洞窟の奥に潜む“何か”」の伝説です。昼間は観光客で賑わうこの洞門も、夜、あるいは潮が満ちてくる時間帯になると、この世のものではない者たちの巣窟と化すと言われています。
「懐中電灯で洞門の奥を照らすと、暗闇の中に、赤く光る目が何十と浮かび上がり、こちらを見ていた」「洞門の最奥部まで進むと、急に空気が重くなり、背後から大勢の何者かに見られているような感覚に襲われた」など、その正体は不明ながらも、複数の霊的な存在が、この洞窟を縄張りとしていることを感じさせる恐怖体験が数多く報告されています。
彷徨える落ち武者と女の霊
この巌門には、より具体的な霊の目撃談も存在します。一つは、かつてこの地での戦で敗れ、追っ手から逃れるために、この洞窟に隠れ潜んだという「落ち武者」の霊です。
もう一つが、近くにある自殺の名所「ヤセの断崖」から身を投げた、あるいは、この巌門で足を滑らせて転落死したとされる「女性」の霊です。「荒波が打ち付ける崖の上で、こちらに背を向けて佇む、白い服の女性がいた。しかし、次の瞬間には、波音と共にその姿は消えていた」といった、物悲しい目撃談が語り継がれています。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
巌門の成り立ち
「巌門」は、石川県羽咋郡志賀町の能登金剛海岸にある、日本海の荒波によって浸食されてできた、巨大な海蝕洞(かいしょくどう)です。高さ15m、幅6m、奥行き60mにも及ぶそのスケールは、まさに自然が作り出した芸術。洞門の上には老松が茂り、その荘厳な姿は、能登金剛を代表する景勝地として、多くの観光客を魅了してきました。
**松本清張原作の映画『ゼロの焦点』**のロケ地としても知られ、そのミステリアスな雰囲気が、全国的にその知名度を高めました。しかし、2007年および2024年の能登半島地震では、岸壁や遊歩道が一部崩落するなどの被害も受けています。
心霊スポットになった“きっかけ”
この美しい景勝地が心霊スポットとなった背景には、「自殺の名所」として名高い「ヤセの断崖」が、すぐ近くに存在することが、大きく影響しています。
実際に、この巌門で自殺や事故が多発したという、具体的な記録はありません。 しかし、「ヤセの断崖で命を絶った人々の魂が、供養を求めて、近くの巌門に集まってくる」という噂が、自然発生的に生まれたのです。
また、「洞窟」や「断崖」という場所そのものが、古来より「異界への入口」や「死の世界」と結びつけられやすい、民俗学的な背景もあります。この土地の持つ元来の神秘性と、隣接する自殺の名所の“死の気配”、そして、『ゼロの焦点』が与えたミステリアスなイメージ。これら全てが融合し、巌門は、美しいながらも、どこか死の影がちらつく、複雑な心霊スポットとして認知されるようになったのです。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
単なる景勝地が、なぜこれほどまでに恐れられるのでしょうか。それは、この場所が**「自然の圧倒的な力」**を、我々に突きつけてくるからです。
- 歴史的要因: この場所には、古戦場のような直接的な血塗られた歴史はありません。しかし、隣接する**「ヤセの断崖」が背負う、数え切れないほどの「現代の死」**の記憶。その強烈な負のエネルギーが、この巌門にまで影響を及ぼし、土地全体の霊的なポテンシャルを高めていると考えられます。
- 地理的・環境的要因: 日本海の荒波が、数万年の時をかけて巨大な岩盤を穿ったという、圧倒的な自然の力。その象徴である洞門は、訪れる者に、人間の非力さを痛感させます。夜になれば、聞こえるのは、全てを飲み込むかのような**「波の轟音」と、崖を吹き抜ける「風の音」**だけ。この轟音と暗闇が、人の声やうめき声といった「幻聴」を引き起こし、本能的な恐怖を呼び覚ますのです。
- 心理的要因: 「洞窟の奥には何があるのだろう?」という、人間の根源的な好奇心と、「暗闇の奥に潜む、未知なるものへの恐怖」。巌門は、この二つの相反する感情を、同時に極限まで刺激します。**『ゼロの焦点』**の舞台であるという知識もまた、「ここでは何かミステリアスな事件が起きるかもしれない」という、サスペンスに満ちた先入観を、訪れる者に植え付けるのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 【最重要】地震による崩落・立入禁止区域あり: 巌門周辺は、2024年の能登半島地震などにより、遊歩道や柵の一部が崩落・損傷しました。 現在も危険区域は、柵や警告看板によって立入禁止となっています。
- 転落・滑落の危険性が極めて高い: 遊歩道や展望台は、崖の上にあります。柵があるとはいえ、高波や強風時には、波にさらわれたり、転落したりする危険性が極めて高いです。
- 夜間・満潮時は通行不可: 遊歩道に街灯は一切なく、夜は完全な暗闇です。また、潮が満ちてくると通行できなくなる区画があるため、夜間の散策は自殺行為に等しいほど危険です。
- 野生動物: 周辺にはイノシシなどの野生動物が出没する可能性があります。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 絶対に立入禁止区域に侵入しない: 柵を乗り越える行為は、不法侵入であると同時に、自らの命を危険に晒す愚かな行為です。
- 天候と潮の情報を必ず確認する: 訪れる際は、必ず天候と潮汐(ちょうせき)情報を確認し、荒天時や満潮時の訪問は避けてください。
- 夜間の訪問は避ける: 物理的な危険性が高すぎるため、夜間の訪問は絶対に避けるべきです。
- 自然への敬意: この場所は、美しい自然遺産です。ゴミのポイ捨てはもちろん、岩を傷つけたりする行為は厳に慎んでください。
まとめ
巌門は、大自然の持つ、創造と破壊の圧倒的な力を、我々に見せつける場所です。洞窟の奥の暗闇に潜むのは、本当に霊なのでしょうか。それとも、我々の心の奥底に眠る、自然への畏敬の念そのものなのでしょうか。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- ヤセの断崖(やせのだんがい) 巌門と同じく、能登金剛の海岸線に存在する、日本で最も有名な自殺の名所の一つ。松本清張『ゼロの焦点』の舞台として知られ、実際に数え切れない人々が命を絶ったこの場所では、今もなお、断崖に佇む女性の霊が、訪れる者を死へと手招きしていると言われています。
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