【石川・最恐廃墟】坂田屋…粟津温泉に眠る巨大廃旅館、鏡に浮かぶ“無数の手形” 石川県が誇る名湯・粟津(あわづ)温泉。その高台に、華やかだった時代の記憶を閉じ込めたまま、静かに朽ち果てていく巨大な旅館の廃墟があります。「坂田屋(さかたや)」。
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【石川・最恐廃墟】坂田屋…粟津温泉に眠る巨大廃旅館、鏡に浮かぶ“無数の手形”
石川県が誇る名湯・粟津(あわづ)温泉。その高台に、華やかだった時代の記憶を閉じ込めたまま、静かに朽ち果てていく巨大な旅館の廃墟があります。「坂田屋(さかたや)」。ここは、特定の事件や事故の伝説がないにも関わらず、訪れる者が次々と不可解な現象に遭遇し、特に、女湯の鏡に浮かび上がる“無数の手形”によって、北陸屈指の心霊スポットとして知られるようになった場所です。
噂される怪奇現象と有名な体験談
1000人もの客を収容したという巨大な館。その静寂は、この場所に残された“記憶”によって、しばしば破られると言われています。
- 女湯の洗面台の鏡に、おびただしい数の手形が浮かび上がっては消える。
- 誰もいないはずなのに、客室のドアが、目の前で激しい音を立てて閉まる。
- 大浴場や長い廊下で、白い服を着た女性の霊が目撃される。
- 誰もいないはずの宴会場から、楽しげな音楽や、人のざわめきが聞こえる。
- 敷地内に足を踏み入れると、急激な頭痛や吐き気、金縛りにあう。
- 撮影した写真に、無数のオーブや、窓からこちらを覗く人影が写り込む。
最も有名な伝説「鏡に浮かぶ“無数の手形”」
この廃墟を一躍、全国区の心霊スポットへと押し上げたのが、女湯の鏡にまつわる、あまりにも有名で不可解な現象です。地下にある大浴場、その脱衣所の洗面台に設置された大きな鏡。そこには、まるで助けを求めるかのように、子供から大人まで、様々な大きさの“手形”が、おびただしい数、浮かび上がってくるというのです。
「懐中電灯で鏡を照らすと、何もないはずの鏡面に、内側から押し付けられたような、無数の白い手形がびっしりと浮かび上がった」「一度拭き取っても、しばらくすると、また別の場所から新たな手形が滲み出てきた」など、多くの探索者によって映像にも記録されており、この廃墟の象徴的な怪奇現象となっています。
ひとりでに閉まるドア
この場所では、ポルターガイスト現象も頻繁に報告されています。特に有名なのが、「ひとりでに閉まるドア」です。
「客室が並ぶ長い廊下を歩いていると、開いていたはずの一つの部屋のドアが、突風も吹いていないのに、目の前で『バタン!』と激しい音を立てて閉まった」「誰もいないはずの上階から、何十ものドアを、順番に力強く閉めていくような音が響き渡った」といった体験談があります。これは、招かれざる侵入者に対して、この場所に棲み着いた“何か”が、強い拒絶の意思を示しているのかもしれません。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
坂田屋の成り立ち
「坂田屋」は、石川県小松市の粟津温泉に、昭和59年(1984年)に開業したとされる(それ以前から建物の一部は存在)、大規模な温泉旅館でした。5階建ての館内には、プールや大浴場、シアターまで備え、最盛期には、北陸観光の拠点として、多くの団体客や家族連れで賑わいました。
しかし、その後のバブル経済の崩壊や、旅行形態の変化による団体客の減少、そして建物の老朽化などが重なり、経営が悪化。平成14年(2002年)頃に、その華やかな歴史に幕を下ろし、以降、20年以上にわたって、巨大な廃墟として、その姿を晒し続けることになりました。
心霊スポットになった“きっかけ”
この場所に、他の有名廃墟のような**「一家惨殺」や「オーナーの自殺」といった、具体的な事件・事故の伝説はありません。**
この場所が心霊スポットとなったきっかけは、純粋に、**廃墟そのものが放つ「圧倒的な雰囲気」と、「失われた賑わいの記憶」**です。
1000人もの人々で賑わったという華やかな過去。その記憶が、がらんどうになった巨大な宴会場や、無数の客室が並ぶ長い廊下といった空間に、**「いるはずのない誰かの気配」**を強く感じさせるのです。人々は、廃墟の静寂の中に、かつての喧騒の“残響”を聞き、それを「女性や子供の声」として認識してしまったのではないでしょうか。
そして、その噂を検証しようと訪れた肝試し客や、廃墟探索者が、**「鏡の手形」や「閉まるドア」といった、説明のつかない不可解な現象に次々と遭遇。それらの体験談が、SNSや動画サイトを通じて拡散されたことで、「事件」ではなく「現象」**が、この場所を北陸屈指の心霊スポットへと押し上げたのです。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
凄惨な事件や伝説がないにも関わらず、なぜこの廃墟はこれほどまでに恐れられるのでしょうか。それは、この場所が**「記憶の集合体」**としての、あまりにも強い力を持っているからです。
- 歴史的要因: この場所の歴史は、**昭和の温泉観光ブームの「光」と「影」を象徴しています。多くの人々が、家族や友人と湯に浸かり、宴を楽しんだであろう「幸福な記憶」。そのおびただしい数のポジティブな記憶が、廃墟と化した現在、「失われたものへの哀愁」**という、極めて物悲しいエネルギーへと反転してしまっているのです。
- 地理的・環境的要因: 粟津温泉の高台にそびえ立つ、周囲を圧倒する巨大な建造物。夜になれば、温泉街の灯りとは対照的に、漆黒の塊として君臨します。がらんどうの巨大な宴会場や、どこまでも続くかのような長い廊下は、訪れる者の方向感覚と平衡感覚を狂わせ、**「自分一人が、この巨大な空間に取り残されている」**という、強烈な孤独感と不安を掻き立てます。
- 心理的要因: 具体的な物語がない分、訪れる者の恐怖は、より漠然とした、そして根源的なものになります。「誰の霊か分からない」「なぜいるのか分からない」。この**「正体不明の恐怖」は、特定の物語を持つ霊よりも、かえって我々の想像力を刺激します。特に「鏡に浮かぶ手形」**は、鏡という“異界を映す”とされる媒体に、助けを求めるのか、こちらを誘うのか分からない無数の“手”が現れるという、極めて強烈で、説明のつかない恐怖を、視覚的に突きつけてくるのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 【警告】極めて危険な状態の廃墟: 建物は20年以上放置され、著しく老朽化・腐食が進んでいます。いつ床が抜け、天井や壁が崩落してもおかしくない、極めて危険な状態です。
- 私有地・立入禁止: 跡地は現在も私有地であり、関係者以外の立ち入りは固く禁じられています。警告看板も設置されています。
- 不法侵入は重大な犯罪: いかなる理由があっても、敷地内に無断で立ち入ることは、刑法の建造物侵-罪にあたる犯罪行為です。
- アスベスト等の危険: 古い建物であるため、建材にアスベストなどの有害物質が使用されている可能性も高く、健康へのリスクも伴います。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 絶対に不法侵入しない: 興味本位で立ち入ることは、犯罪であるだけでなく、崩落事故などに巻き込まれる可能性のある、命を危険に晒す行為です。絶対にやめてください。
- ネットの古い情報を鵜呑みにしない: 内部を探索しているような古い情報や動画は、過去の不法行為の記録です。現在では状況がさらに悪化している可能性が高く、決して真似をしないでください。
- 近隣への配慮: 付近には現在も営業している旅館や民家もあります。深夜にうろついたり、大声で話したりする行為は、多大な迷惑となります。
- イベント時以外は近づかない: 2019年には公式イベントで内部が公開されましたが、それ以外は完全に閉鎖されています。
まとめ
「坂田屋」は、昭和の華やかな宴の記憶が、廃墟の静寂の中で、怪異へと姿を変えた場所です。鏡に浮かぶ無数の手形は、本当に霊の仕業なのでしょうか。それとも、楽しかった時代の記憶が、今もなお、訪れる者に何かを伝えようとしているだけなのでしょうか。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- 旧無患子トンネル(きゅうむくろじとんねる) 坂田屋のある小松市のお隣、能美市に存在する、封鎖された廃隧道。「子が患わ無い」という縁起の良い名前とは裏腹に、内部から謎の叫び声が聞こえる、写真から顔が消えるなどの怪異が報告される、不気味な心霊スポットです。
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