【神奈川・最恐隧道】小坪トンネル…“火葬場”の下、女の霊が車に乗り込む呪いの隧道群

神奈川県逗子市と鎌倉市を結ぶ、風光明媚な海岸沿いの道。そこに、地元ではあまりにも有名な、6つ（あるいはそれ以上）のトンネルが連続する不気味な区間があります。「小坪（こつぼ）トンネル」。ここは、真上に現役の火葬場が、そしてすぐ隣には中世の集団墓地が広がる、日本でも有数の“死”に囲まれた場所。夜な夜な、トンネルの闇からは、白い服の女の霊が現れ、車に乗り込んでくると言われています。

噂される怪奇現象と有名な体験談

“死”の記憶が凝縮されたこの場所では、その悲惨な歴史を物語るかのような、数々の心霊現象が報告されています。

• 深夜、トンネルを車で通過中、バックミラーに、いるはずのない、髪の長い“白い服の女”が映り込む。
• 誰もいないはずなのに、トンネルの壁から、無数の“手形”が浮かび上がる。
• トンネルの天井から、逆さまになった女の霊が落ちてくる。
• 誰もいないはずなのに、女性のすすり泣きや、うめき声が聞こえる。
• 敷地内に足を踏み入れると、急激な頭痛や吐き気、そして金縛りにあう。
• 撮影した写真に、おびただしい数のオーブや、こちらを覗き込む顔が写り込む。

最も有名な伝説「車に“乗り込んでくる女”」

この小坪トンネルを、全国区の心霊スポットへと押し上げたのが、「車に乗り込んでくる女の霊」という、あまりにも有名な伝説です。これは、かの文豪・川端康成も、自身の怪談集『無言』の中で、実話として書き残しています。

「深夜、このトンネル（あるいは旧道）を車で通りかかると、ずぶ濡れの若い女がヒッチハイクをしている。哀れに思って車に乗せると、女は一言も話さず、うつむいている。そして、ふと気がつくと、女はシートを濡らしたまま、忽然と姿を消してしまう」

この女性の霊は、かつてこのトンネル周辺で事故死、あるいは自殺した霊であると言われています。今もなお、この“死”のループから抜け出せず、生者の車を求めて彷徨い続けているのかもしれません。

壁から浮かぶ“無数の顔と手形”

この場所のもう一つの恐怖が、トンネルの壁に現れるという「顔」や「手形」です。これは、この土地に眠る、数多の死者たちの怨念であると囁かれています。

「トンネルを走行中、ヘッドライトに照らされた壁の染みが、一瞬、苦悶の表情を浮かべた人間の顔に見えた」「車の窓ガラスに、外側から、びっしりと小さな子供の手形のようなものが付着していた」といった体験談が絶えません。彼らは、この暗いトンネルから、外の世界へ出ようと、必死にもがいているのでしょうか。

この場所に隠された歴史と呪われた背景

小坪トンネルの成り立ち

「小坪トンネル（小坪隧道群）」は、神奈川県逗子市小坪と、鎌倉市材木座を結ぶ、県道311号線に存在する、複数の古いトンネルの総称です。最も古いものは、大正から昭和初期に掘られたとされ、長年にわたり、地域の交通の要衝として利用されてきました。

しかし、このトンネル群が、他の場所と一線を画す、決定的な理由。それは、その**“立地”**にあります。

心霊スポットになった“きっかけ”

この場所が心霊スポットとなった背景には、**「火葬場」「集団墓地」「事故多発」**という、これ以上ないほどの“死”の三要素が、奇跡的にも集結していることにあります。

まず、トンネルの**真上には、現在も稼働する「逗子市斎場（火葬場）」**が存在します。日々、多くの“死”が煙となって立ち上る場所。その真下を、人々が日常的に通り抜けているのです。

次に、トンネルのすぐ隣には、**「まんだら堂やぐら群」**という、鎌倉時代から続く、**中世の集団墓地（供養窟）**が広がっています。

そして、このトンネル自体が、カーブが多く、見通しが悪かったため、交通事故や、ひき逃げ事件が多発した場所でもありました。

「火葬場の煙」「古（いにしえ）の墓地」「現代の事故死」。この、ありとあらゆる時代の、ありとあらゆる“死”の記憶が、この狭いトンネル群に凝縮されています。川端康成が、その怪異を書き記したことも、この場所の霊的なエネルギーの強さを、裏付けているかのようです。

【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか

単なる古いトンネル群が、なぜこれほどまでに恐れられるのでしょうか。それは、この場所が**「“死”のインフラ」**そのものだからです。

• 歴史的要因： この場所の恐怖は、特定の事件や伝説だけではありません。**「火葬場」という、現代における“死の処理”を担う施設。そして、「まんだらG堂」**という、中世の“死の集積所”。この、時代を超えた、二つの巨大な“死”の施設に、このトンネルは物理的に挟まれています。その圧倒的な「死の記憶」の密度が、この土地の霊的なポテンシャルを、極限まで高めているのです。
• 地理的・環境的要因： 海と山に挟まれた、狭く、暗く、湿ったトンネル。車一台がやっと通れるほどの閉鎖空間は、それ自体が、この世とあの世の“境界”のようです。特に、**真上にある「火葬場」**の存在は、「今、この上空を、焼かれた魂が通っているのではないか」という、強烈な恐怖の想像を掻き立てます。
• 心理的要因： 文豪・川端康成が、実話怪談として書き残したという事実。この**「権威ある者の証言」**が、この場所の心霊譚に、単なる都市伝説ではない、抗いようのない“真実味”を与えています。その上で、「車に女が乗り込む」「壁に手形が浮かぶ」といった、具体的な噂を知ることで、訪れる者は、自らが怪談の当事者になることを、強烈に意識してしまうのです。

探索の注意点

現在の状況と物理的な危険性

• 通行可能な公道: 小坪トンネル群は、現在も県道311号線の一部として、自動車や歩行者が日常的に利用しています。
• 夜間は非常に暗く危険: トンネル内に照明はありますが、全体的に薄暗く、夜間は視界が悪いです。道幅も狭く、歩道も整備されていないため、歩行での通行は非常に危険です。
• 交通量が多い: 観光地である鎌倉と逗子を結ぶ道のため、昼夜を問わず、一定の交通量があります。
• 近隣は墓地・火葬場: トンネルの周辺は、実際に利用されている墓地や火葬場に隣接しています。

訪問時の心構えと絶対的なルール

• 故人への敬意を最優先に: この場所は、肝試しスポットである前に、多くの魂が眠る神聖な場所であり、また、現在も多くの方が故人を弔いに訪れる場所です。不謹慎な言動や挑発行為は厳に慎んでください。
• 近隣施設への配慮: 火葬場や、周辺の民家、寺院の迷惑となるような行為（深夜の騒音、違法駐車など）は絶対にやめてください。
• 安全運転・通行を徹底する: 道幅が狭く、見通しが悪いため、運転には細心の注意が必要です。トンネル内での駐停車は大変危険です。
• 静かに行動する: 地域住民の生活道路であることを強く意識し、静かに、そして速やかに通り抜けるに留めてください。

まとめ

小坪トンネルは、神聖な祈りの煙と、無念の死の記憶が、一つの暗い隧道の中で交錯する場所です。その闇の中であなたの車に乗り込んでくるのは、本当に霊なのでしょうか。それとも、この土地の深い悲しみの歴史が、あなたに見せる、ただの幻影なのでしょうか。

このスポットの近くにある、もう一つの恐怖

• 名越切通（なごえきりどおし）・まんだら堂やぐら群 小坪トンネルのすぐ近くに存在する、鎌倉時代の古戦場であり、中世の集団墓地。切り立った崖に無数の“やぐら”（納骨窟）が口を開ける光景は圧巻で、夜な夜な、落ち武者の霊が彷徨うと噂されています。
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