お玉ケ池:元禄の悲劇、16歳の少女が「首を洗われた池」…霧の夜に響くすすり泣き 神奈川県箱根町、旧東海道の山中にひっそりと水を湛える「お玉ケ池」。その美しい景観とは裏腹に、この池は元禄時代に「関所破り」の重罪で処刑された16歳の少女・お玉が、打ち落とされた首を洗われた場所として伝わっています。
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お玉ケ池:元禄の悲劇、16歳の少女が「首を洗われた池」…霧の夜に響くすすり泣き
神奈川県箱根町、旧東海道の山中にひっそりと水を湛える「お玉ケ池」。その美しい景観とは裏腹に、この池は元禄時代に「関所破り」の重罪で処刑された16歳の少女・お玉が、打ち落とされた首を洗われた場所として伝わっています。今もなお、霧の深い夜には白い着物姿の霊が水辺に立ち、その悲痛なすすり泣きが聞こえてくると言われる、箱根屈指の悲劇の心霊スポットです。
噂される怪奇現象と有名な体験談
1702年から続くお玉の悲しみは、300年以上の時を経た今も、この地に訪れる者たちに数々の不可解な現象を体験させています。
- 白い着物(白装束)を着た若い女性の霊が、池の水辺に佇んでいる。
- 深夜、池の方向から女性の「すすり泣く声」が聞こえてくる。
- 池の水面に、人影や「女性の顔」のようなものが浮かび上がる。
- 池の近くを通ると、急に身体が重くなったり、強い圧迫感を覚えたりする。
- 付近の旧東海道を車で走行中、急にブレーキが効きにくくなったり、車内が異様に冷たくなったりする。
- 雨の夜に白装束の女性を目撃した者が、数日後に原因不明の体調不良に見舞われた。
- 1996年には、週刊誌に「池の水面に女性の頭部が映り込んだ」とされる心霊写真が掲載された。
水辺に立つ「白い着物の少女」
この場所で最も多く目撃されているのが、お玉の霊とされる「白い着物の女性」です。 霧が深く立ち込める夜、あるいは雨の夜、池のほとりにぼんやりと白い人影が立っていると言われます。その姿は、処刑時に身につけていた白装束とも、奉公先の着物とも言われています。 かつては箱根の観光警備員からも複数の目撃談が寄せられており、その存在は単なる噂を超えて、この土地の「現実」として語り継がれています。特に「雨の夜に彼女を見た者は、その祟りで体調を崩す」という、恐ろしい後日談も存在します。
車を襲う不可解な現象と「すすり泣き」
お玉ケ池は旧東海道沿いに位置するため、車での訪問者による体験談も後を絶ちません。 夜間に池のそばを車で通過しようとすると、アクセルを踏んでも進まなくなり、急に車体が重くなる、あるいはブレーキの効きが悪くなるといった報告が寄せられています。 同時に、車の窓を閉めているにもかかわらず、池の方から「シクシク」という女性のすすり泣き声が聞こえてきたという証言も多く、この地に残るお玉の無念が、通行する者たちに影響を与えているのではないかと恐れられています。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
お玉ケ池の成り立ち
この池は、悲劇が起こる以前は「薺ヶ池(なずながいけ)」または「那津奈可池(なずながいけ)」と呼ばれていました。箱根旧東海道の難所「八丁坂」の中腹に位置し、旅人たちの目印ともなっていた小さな池でした。
心霊スポットになった“きっかけ”
この池の運命を永遠に変えたのが、元禄15年(1702年)に起きた「お玉関所破り事件」です。 当時、江戸での奉公を辞め、故郷の伊豆国へ帰ろうとしていた16歳の少女「お玉」は、通行に必須の「通行手形」を持っていませんでした。正規のルートである箱根関所を通れないと悟ったお玉は、関所を迂回する裏道(いわゆる「関所破り」)を試みますが、無情にも役人に捕縛されてしまいます。
江戸幕府にとって「関所破り」は、大名家の謀反にも繋がりかねない国家レベルの重罪であり、見せしめとして極刑に処されました。お玉も例外ではなく、2ヶ月にわたる厳しい取り調べの末、「打ち首獄門」の判決が下されます。 お玉の首は打ち落とされた後、この池で洗われ、街道沿いに晒されたと伝えられています。このあまりにも悲惨な出来事以降、人々はこの池を「お玉ケ池」と呼び、その悲話を語り継ぐようになりました。江戸時代後期には、彼女の魂を弔うための「お玉供養碑」も建立され、今も現地に静かに佇んでいます。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
お玉ケ池がこれほどまでに強力な心霊スポットとして存続し続ける理由は、他のスポットとは一線を画す、悲劇の「具体性」と「歴史的信憑性」にあります。
- 歴史的要因: 最大の要因は、「元禄15年」「お玉という16歳の少女」「関所破り」「打ち首獄門」「首を洗った池」という、極めて具体的かつ詳細な史実(あるいは史実として広く伝承されてきた事実)が核となっている点です。和綴じの草双紙(江戸時代の読み物)にも記録が残り、江戸後期の供養碑が現存することが、その悲劇のリアリティを裏付けています。16歳という若さで極刑に処された少女の無念が、この水辺に残留思念として強く刻み込まれている可能性は非常に高いでしょう。
- 地理的・環境的要因: 箱根の山中、旧東海道沿いという、かつての主要街道でありながら現在は隔絶された特殊な立地が恐怖を増幅させます。夜間は一切の照明がなく、霧が発生しやすい気象条件は、視覚的な錯覚(白い霧の塊を人影と誤認する)を生み出しやすい環境です。また、「池(水辺)」は古来より霊的な境界とされ、ヤマカガシ(毒蛇)やシカが出没する深い自然が、人間の本能的な恐怖を刺激します。
- 心理的要因: 「お玉ケ池」という名前そのものと、「首洗い池」というおぞましい別名が、訪問者に対して強烈な先入観を与えます。観光ガイドによる怪異譚の紹介や、1996年の週刊誌による心霊写真の掲載が、そのイメージを決定的なものにしました。現地に立つ「お玉供養碑」の存在は、ここが単なる噂の場所ではなく、「供養を必要とするほどの悲劇があった現場」であることを、訪問者の脳裏に強く刻み付けます。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 現地は自然保全区域内の観光地として整備されており、法的な立入禁止ではありません。遊歩道や石碑が設置されています。
- 夜間は照明が一切なく、完全な暗闇です。 旧東海道の脇道にあたるため、人通りも皆無となります。
- 池の周囲には滑落防止用の柵やロープが設置されていますが、足元は不安定です。
- 池の奥はぬかるんでおり、また「ヤマカガシ(毒蛇)」の生息地として知られています。 夜間の探索は、毒蛇に噛まれるリスクがあり極めて危険です。
- 周囲は深い林であり、シカやサルなどの野生動物と遭遇する可能性もあります。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- この場所は、16歳で非業の死を遂げた「お玉」という実在の(と伝わる)人物の慰霊の地です。供養碑も存在し、今も線香や供花が絶えません。絶対に遊び半分で騒いだり、不敬な態度をとったりしないでください。
- 現地には専用駐車場がありません。最も近い「箱根関所駐車場」などから徒歩(約15分)となります。近隣の路上駐車は厳禁です。
- 夜間に訪問する場合は、懐中電灯などの強力な照明器具が必須です。また、毒蛇やぬかるみ、野生動物の危険があるため、単独行動は避け、肌の露出が少ない服装(長靴など)を推奨します。
まとめ
元禄の世、故郷に帰りたい一心で禁忌を破り、16歳で散った少女・お玉。その悲痛な魂は、300年の時を超え、今も「首を洗われた池」のほとりに佇み続けています。もし霧の夜、この池で白い影を見ても、それは決して目を合わせてはいけない、悲劇の記憶そのものなのかもしれません。
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