精進池:鎌倉時代から続く「地獄の入口」…水面に響く読経と僧侶の霊 箱根旧東海道、六道地蔵の傍らに、黒灰色の水をたたえる不気味な池があります。それが「精進池(しょうじんがいけ)」です。古くは「六道の辻(冥界への分岐点)」、あるいは硫黄ガスが噴き出す「地獄谷」と呼ばれ、
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精進池:鎌倉時代から続く「地獄の入口」…水面に響く読経と僧侶の霊
箱根旧東海道、六道地蔵の傍らに、黒灰色の水をたたえる不気味な池があります。それが「精進池(しょうじんがいけ)」です。古くは「六道の辻(冥界への分岐点)」、あるいは硫黄ガスが噴き出す「地獄谷」と呼ばれ、数多の旅人が命を落としたこの場所は、現代において「霊が呼ぶ池」として恐れられています。深夜、水面から響くという読経の声、そして池の上を歩くという僧侶の霊。ここは、箱根でも随一の「霊場」としての側面を持つスポットです。
噂される怪奇現象と有名な体験談
鎌倉時代から700年以上にわたり死者供養の場とされてきたこの池では、その歴史を裏付けるかのような数多くの怪奇現象が報告されています。
- 深夜、誰もいないはずの池から、僧侶が読経するような低い「お経の声」が聞こえる。
- 静寂の中、突如として「カーン」という甲高い鐘の音や、「チリンチリン」という鈴の音が近づいてくる。
- (この鈴の音を聞いた者は、不幸に見舞われるという恐ろしい伝承がある)
- 池に石を投げ込んだわけでもないのに、暗闇から「ポチャ」という水音がする。
- 池の水面を、白いモヤ(人影状のもの)が漂っている。
- 白装束を着た男性(僧侶)の霊が、水面を歩くように横切る姿が目撃される。
- 訪問者が急な吐き気、めまい、激しい頭痛などの体調不良に見舞われる。
- 撮影した写真や動画に、無数の光球(オーブ)や説明のつかない人影が映り込む。
水面から響く「呼び声の霊」
この池で最も古くから伝わる恐怖体験が、「音」にまつわる現象です。 夜間にこの池のそばを通ると、どこからともなく「お経」や「鐘の音」が聞こえてくるといいます。これは、かつてこの地で修行中に姿を消した僧侶の霊、あるいは「呼び声の霊」と呼ばれる存在が、旅人を池に誘い込み、溺死させようとしているのではないかと噂されています。 昭和中期にも、旅人がこれらの音を耳にしたという話が地元で広まり、「六道の池」として恐れられていました。
魚も棲めぬ「死の水面」を歩く影
精進池の水は、硫黄ガスを含む湧水の影響で黒灰色に濁り、魚類が一切生息できないことから「死の水面」と呼ばれています。 この不気味な水面の上を、「白いモヤ」や「白装束の僧侶らしき影」が、まるで歩くかのようにスーッと移動していく姿が目撃されています。これは、六道地蔵に祈りを捧げる霊なのか、あるいはこの「地獄谷」に囚われたまま成仏できない魂なのか、その正体は誰にも分かりません。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
「六道の辻」と「地獄谷」
精進池の歴史は古く、鎌倉時代後期から南北朝時代(約700年前)にまで遡ります。この一帯は、箱根越えの難所であり、当時は「六道の辻(死者が冥界へ向かう際に通る6つの道の分岐点)」と呼ばれる霊場でした。 旅人たちは、この池で「精進」(仏教の修行、身を清めること)を行い、隣接する六道地蔵や磨崖仏(国の重要文化財)に道中の安全と死者供養を祈りました。これが「精進池」の名の由来です。
しかし、その一方で、この地は噴煙が立ち込める硫黄地帯であったことから「地獄谷」とも呼ばれていました。当時は足場も悪く、旅人が誤って足を踏み外し、命を落とす事故が多発したと言われています。池の周囲に今も残る多くの供養塔は、その犠牲者たちの魂を癒すために建てられたものです。
心霊スポットになった“きっかけ”
死者供養の場、六道の辻、地獄谷、旅人の事故死——これほど「死」にまつわる要素が揃った場所が、心霊スポット化するのは必然だったのかもしれません。 昭和中期から「お経が聞こえる」といった噂は存在していましたが、2000年代以降、心霊系YouTuberやオカルトマニアが「霊が呼ぶ池」「地獄の入口」としてこの場所を紹介し始めたことで、その知名度は全国区となりました。魚も棲めない「死の水面」という異様な光景が、その恐怖をさらに増幅させています。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
精進池が単なる噂の場所ではなく、強力な霊場として恐れられ続ける背景には、歴史、環境、心理の三つの要因が深く絡み合っています。
- 歴史的要因: 700年以上前から「六道の辻(冥界の入口)」と呼ばれ、「死者供養」と「安全祈願」が行われてきたという重い歴史が、土地そのものに強烈な記憶を刻み込んでいます。旅人の事故死が多発したという具体的な「死の蓄積」と、修行僧の失踪伝承が、「呼び声の霊」という怪談のリアリティを裏付けています。
- 地理的・環境的要因: 最大の恐怖要因は、硫黄ガスを含み生物が棲息できない「黒灰色の水面」という視覚的恐怖です。「死の水面」という光景は、ここが「この世のものではない場所」であることを直感させます。また、箱根の山中という閉鎖的な空間、昼でも薄暗い環境、そして夜間は街灯一つない「真の闇」となるため、些細な物音(風の音、木のきしむ音)が「読経」や「鐘の音」として幻聴(パレイドリア現象)を引き起こしやすい環境です。
- 心理的要因: 池のすぐ隣には、「六道地蔵」や「磨崖仏」といった、「死後の世界」を強烈に連想させるアイテムが実在します。訪問者は「ここは地獄の入口だ」という強烈な先入観を持って訪れるため、脳が極度に緊張し、湿地の気配や暗闇の影を「霊」として誤認しやすくなります。また、「精進(身を清める)」という行為自体が、霊的なものへの感受性を高めるという側面も持っています。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- この一帯は「元箱根石仏・石塔群」として国の重要文化財に指定されており、文化財保護区域内です。
- 池の左側(磨崖仏側)は防護柵で封鎖されており、立入禁止となっています。右側の徒歩通路は通行可能ですが、整備はされていません。
- 夜間は街灯が一切なく、「真の闇」となります。 足元は湿地地形で非常にぬかるんでおり、転倒・滑落のリスクが極めて高いです。
- **「ヤマカガシ(毒蛇)」**や野生のシカの出没情報が多数あります。夜間に毒蛇に遭遇する危険性は計り知れません。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- この場所は神聖な「霊場」であり、国の重要文化財です。肝試し気分で騒いだり、供養塔やお供え物を荒らしたり、落書きや破壊行為を行うことは絶対に許されません。
- 文化財保護の観点から、警備員や巡回パトロールが常時行われています。不審な行動は通報の対象となります。
- 毒蛇や転落の危険があるため、夜間の訪問は自殺行為に等しく、絶対に避けるべきです。訪問する場合は、必ず日中の明るい時間帯にしてください。
- 駐車場は「六道地蔵前」の無料スペース(約10台)が利用可能ですが、長時間の占拠は避けてください。
まとめ
鎌倉時代から旅人たちの畏怖と祈りを受け止めてきた「地獄谷」、精進池。黒灰色の水面に響くという読経の声は、今もなおこの「六道の辻」で迷い続ける魂たちを弔う声なのか、それとも新たな訪問者を冥界へと誘う「呼び声」なのでしょうか。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- お玉ケ池 精進池から徒歩約10分。箱根関所破りの罪で処刑された16歳の少女「お玉」の首を洗ったと伝えられる池。「女性の霊が水辺に立つ」という、精進池とはまた異なる悲劇の霊スポットです。
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- 箱根関所資料館 精進池から約3km南下した場所。かつて展示されていた「晒し首の写真」に無数の顔が写り込んでいたとして有名になりました。今もなお、職員による霊障の報告があると言われています。
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