神奈川県秦野市にある標高761メートルの峠道。丹沢山系への登山口として親しまれる一方で、カーブの多い山道での交通事故が頻発し、数多くの心霊現象が報告されている関東屈指の心霊スポットである。 歴史的背景 ヤビツ峠は古くから丹沢山系と相模平野を結ぶ重要な交通路として利用されてきた。
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神奈川県秦野市にある標高761メートルの峠道。丹沢山系への登山口として親しまれる一方で、カーブの多い山道での交通事故が頻発し、数多くの心霊現象が報告されている関東屈指の心霊スポットである。
歴史的背景
ヤビツ峠は古くから丹沢山系と相模平野を結ぶ重要な交通路として利用されてきた。現在の県道70号線(秦野清川線)が整備されたのは1964年(昭和39年)で、東京オリンピック開催に合わせたインフラ整備の一環として建設された。しかし、急カーブが連続する険しい山道のため、開通当初から交通事故が多発していた。1970年代後半頃から事故死者の霊が目撃されるという報告が相次ぎ、1980年代には既に心霊スポットとしての知名度を獲得していた。バイクや車の愛好家にとって人気のワインディングロードである一方で、「魔の峠道」としても恐れられる存在となっている。
怪奇現象・体験談
ヤビツ峠では交通事故に関連した心霊現象が数多く報告されている。最も頻繁に目撃されるのは、カーブミラーや車のサイドミラーに映る人影で、特にバイクに乗った男性の霊や、道路脇に立つ女性の姿が目撃されている。また、深夜の走行中に突然ブレーキランプが点灯したり、エンジンが不調になったりする現象も多数報告されている。
代表的な体験談として、峠の途中で車が故障して停車していた際に、窓ガラスを叩く音が聞こえたが外には誰もいなかったという証言や、バックミラーに映った血だらけの顔に驚いて急ブレーキを踏んだという恐怖体験がある。また、峠道を走行中に助手席に知らない人が座っていることに気づき、声をかけようとした瞬間に消えてしまったという現象も複数回報告されている。地元では「事故で亡くなったライダーや運転手の霊が、同じように峠を走る人に憑りつく」「特に事故の起きやすいカーブ地点で現象が集中する」という伝承が根強く残っている。
メディア・文献情報
ヤビツ峠は1980年代後半からテレビの心霊番組で頻繁に取り上げられ、フジテレビの「あなたの知らない世界」や日本テレビの「恐怖の心霊写真」などで紹介された。心霊研究家の池田武央氏や中岡俊哉氏なども実際に調査を行い、複数の著書で詳しく言及している。バイク雑誌でも「心霊スポット特集」として度々掲載され、ライダーの間では有名な話となっている。インターネット時代になってからは体験談サイトで常に上位にランクインし、YouTubeでも多くの検証動画が投稿されている。近年では心霊系YouTuberによる深夜の検証企画でも定番のスポットとなっている。
現地の状況・注意事項
現在も県道として一般開放されており、日中は登山者や観光客、夜間はドライブやツーリングを楽しむ人々が多く利用している。しかし、急カーブが連続する危険な山道のため、速度超過や無謀運転による事故が後を絶たない。路面は狭く、対向車とのすれ違いには細心の注意が必要だ。また、夜間は街灯がほとんどなく視界が極めて悪い。心霊スポット目当ての訪問者による路上駐車や騒音が地元住民の迷惑となっているため、指定された駐車場以外での停車は避けるべきである。山間部のため携帯電話の電波が不安定な箇所もあり、緊急時の連絡手段を事前に確保しておくことが重要だ。
訪問のポイント
現象の目撃談は深夜から明け方にかけて最も多く、特に午前2時から4時頃に集中している。雨や霧の日には視界が悪化するため現象を体験しやすいとされるが、同時に事故のリスクも高まる。峠の頂上付近には展望台があり、晴天時には相模湾や富士山を望むことができるため、昼間の景色を楽しんでから夜間に再訪するという方法もある。ただし、あくまで一般道路であることを忘れず、安全運転を最優先に、他の利用者への配慮を忘れずに訪問することが不可欠である。