海難事故と投身自殺…伊勢志摩の絶景に潜む「大王崎(だいおうざき)」 三重県志摩市、太平洋の荒波が打ち寄せる断崖に、白亜の灯台がそびえ立つ「大王崎」。その美しい景観は「絵かきの町」として多くの画家や観光客を魅了してきました。
...
海難事故と投身自殺…伊勢志摩の絶景に潜む「大王崎(だいおうざき)」
三重県志摩市、太平洋の荒波が打ち寄せる断崖に、白亜の灯台がそびえ立つ「大王崎」。その美しい景観は「絵かきの町」として多くの画家や観光客を魅了してきました。しかし、この風光明媚な岬は、古くから海の難所として数多くの船が遭難し、現代では投身自殺が後を絶たないという、悲劇に彩られた心霊スポットとしての一面も持っています。
心霊スポットとしての大王崎:海に散った魂が集まる場所
この岬が心霊スポットとして語られる理由は、その土地が持つ二重の「死」の記憶にあります。一つは、海の難所として古くから船乗りたちに恐れられ、荒波にのまれて命を落とした人々の無念。そしてもう一つが、人生に絶望し、この断崖から身を投げてしまう自殺者の霊です。海難事故の犠牲者と、自ら命を絶った人々の魂が混ざり合い、夜な夜な岬の先端や荒磯を彷徨い、訪れる者を海の中へ引きずり込もうとすると言われています。
歴史的背景:海の難所と悲恋の伝説
大王崎は、熊野灘と遠州灘の荒波がぶつかり合う、航海の難所として古くから知られていました。岩礁が多く、濃霧も発生しやすいため、数多くの船がここで座礁・沈没し、多くの船乗りたちが海の藻屑と消えていきました。岬に立つ「大王埼灯台」は、そうした悲劇を繰り返さないために1927年(昭和2年)に建てられたものです。
心霊スポットとしての噂には、そうした海難事故の犠牲者の霊に加え、ある悲恋の伝説も深く関わっています。それは、「海で遭難した恋人を待ち続けた末、悲嘆にくれた女性がこの岬から身を投げた」という物語です。この哀しい伝説が、現代の自殺の名所というイメージと結びつき、大王崎をより強力な心霊スポットへと変貌させています。
怪奇現象・体験談:崖っぷちに立つ女と海からの叫び声
この岬では、海で亡くなった人々の霊に関連する、数々の怪奇現象が報告されています。
- 崖に立つ女性の霊 この場所を象徴する最も有名な怪奇現象です。深夜、灯台の近くや断崖絶壁の先端に、白い服を着た髪の長い女性の霊がぽつんと立っている姿が目撃されています。悲しそうに海を見つめていたり、手招きをしたりすると言われ、恋人を待ち続ける女性の霊ではないかと噂されています。
- 子供の霊 女性の霊だけでなく、幼い子供の霊が崖のそばで遊んでいる、あるいは泣いている姿も目撃されています。
- 海から聞こえる叫び声 静まり返った夜の岬で、崖の下の海から「助けて…」という断末魔の叫び声や、多くの人々のうめき声が聞こえてくるという体験談も後を絶ちません。これは、遭難した船乗りたちの霊の声だとされています。
- 崖から突き落とす力 崖の縁に立っていると、背後から何者かに強く押され、海に突き落とされそうになるという、非常に危険な体験談もあります。
現地の状況・注意事項:美しい観光地と夜間の危険
- 現在の状況 大王崎は、現在も灯台を中心に、土産物店や遊歩道が整備された伊勢志摩を代表する観光地です。昼間は多くの観光客で賑わっています。しかし、夜間は店舗も閉まり、外灯もほとんどないため、完全な暗闇と波の音だけが支配する不気味な空間となります。
- 立ち入り禁止区域 断崖絶壁の周辺には、危険防止のために柵が設けられていますが、低い場所も多くあります。絶対に柵を乗り越えないでください。
- 安全上の注意点 心霊現象以前に、物理的に非常に危険な場所です。夜間は足元が全く見えず、強風にあおられたり、足を滑らせたりして崖から転落する危険性が非常に高いです。
- マナー・ルール ここは多くの人々が悲しい最期を遂げた場所です。決して面白半分の肝試し気分で騒いだり、不謹慎な行動をとったりしないでください。全ての亡くなった魂への慰霊の念を忘れてはなりません。
訪問のポイント
- おすすめの時間帯 心霊スポットとしての顔に触れたいのであれば、人けがなくなる深夜となりますが、前述の通り極めて危険です。安全を最優先に考え、日中の明るい時間帯に訪れることを強く推奨します。
- 特定のスポット 「大王埼灯台」の周辺や、断崖絶壁の先端付近が、特に霊の目撃情報が多い場所とされています。