母子の霊が泣き叫ぶ…固く封印された三重の廃隧道「旧長野トンネル（昭和のトンネル）」

三重県伊賀市と滋賀県甲賀市の県境、現在は快適な「平成長野トンネル」が貫く長野峠の旧道に、時代から取り残されたかのように固く封鎖されたトンネルがあります。通称「旧長野トンネル」、あるいは「昭和のトンネル」。1960年（昭和35年）に開通したこの隧道は、かつて多くの悲惨な交通事故を招いたことから、母子の霊が彷徨うという悲しい噂が絶えず、東海・関西地方でも屈指の心霊スポットとして知られています。

心霊スポットとしての旧長野トンネル：事故死した母子の怨念

このトンネルが心霊スポットとして恐れられる最大の理由は、トンネル内で起きたとされる、ある母子の死亡事故の噂にあります。狭く危険なトンネルで、母親と幼い子供が事故に巻き込まれて亡くなった——。この悲劇的な物語が、閉鎖され闇に沈んだトンネルという空間と結びつき、成仏できない母子の霊が、今もなお救いを求めてトンネル周辺を彷徨っていると信じられています。特に、子供を庇って亡くなった母親の無念は計り知れないとされています。

歴史的背景：危険な隧道と地蔵の謎

1960年に完成した旧長野トンネルは、当時としては重要な交通路でしたが、道幅が非常に狭く、内部に照明もない危険な隧道でした。大型車同士のすれ違いは不可能で、トンネル内やその前後では、正面衝突や接触事故が絶えませんでした。

そうした事故が多発する中で、いつしか「母子の霊が出る」という噂が立つようになります。やがて、1998年（平成10年）に、より安全な「平成長野トンネル」が開通すると、旧トンネルはその役目を終え、入り口が分厚いコンクリートブロックで完全に封鎖されました。しかし、封印された闇の中では、事故で亡くなった霊たちの苦しみがより一層渦巻いていると言われ、心霊スポットとしての知名度はむしろ高まっていきました。

さらに不気味なのは、トンネルの三重県側入り口の脇に祀られているお地蔵様です。いつからか、このお地蔵様は「トンネルを見たくない」とでも言うかのように、壁の方を向いてしまっているのです。誰かが悪戯で動かしたのか、それとも霊的な力によるものなのか、真相は謎のままです。

怪奇現象・体験談：壁の向こうから聞こえる「ママ…」の声

旧長野トンネルでは、亡くなった母子の霊に関連する、数々の恐怖体験が報告されています。

• 母子の霊と赤い服の女性の霊 封鎖される以前、トンネル内部で母親と子供の霊が手をつないで立っている姿や、赤い服を着た女性の霊がトンネルを通り抜けようとする車を追いかけてくる、という目撃談が多発していました。
• 壁の向こうから聞こえる子供の声 固く封鎖されたコンクリートブロックの壁に耳を当てると、トンネルの奥から「ママ…ママ…」と母親を探す子供の悲しい声や、女性のすすり泣きが聞こえてくることがあると言います。
• 窓ガラスに付着する子供の手形 トンネル周辺に車を停めていると、車の窓ガラスに、内側から付けられたような小さな子供の手形がびっしりと付着している、という体験談は非常に有名です。
• 原因不明の車両トラブル トンネルに近づくと、車のエンジンが突然停止したり、カーオーディオの音が乱れたりといった、原因不明の車両トラブルに見舞われるという報告も多くあります。

現地の状況・注意事項：完全に封鎖された旧トンネル

• 現在の状況 旧長野トンネルは、現在、入り口がコンクリートブロックで完全に塞がれており、内部に立ち入ることは一切できません。トンネル前の道は旧道として残っていますが、ほとんど利用されておらず、荒れ果てています。
• 立ち入り禁止区域 旧トンネル内部は物理的に立ち入り不可能です。ブロックを動かそうとしたり、隙間から侵入しようとしたりする行為は、危険であり、器物損壊罪にあたる可能性があります。
• 安全上の注意点 トンネルへ至る旧道は、ガードレールもない狭く険しい山道です。夜間は街灯もなく、完全な暗闇となるため、運転には最大限の注意が必要です。
• マナー・ルール 壁の方を向いてしまったお地蔵様は、この地の悲劇の象徴です。もし訪れる際は、静かに手を合わせ、この地に眠る全ての魂の冥福を祈ってください。お地蔵様を動かしたり、不敬な行為をしたりすることは絶対にやめてください。

訪問のポイント

• おすすめの時間帯 トンネル内部には入れませんが、心霊スポットとしての雰囲気を味わいたいのであれば、交通量が皆無となる深夜が良いとされています。しかし、前述の通りアクセスは非常に危険です。
• 周辺の特定スポット 「封鎖されたトンネルの入り口」、「壁の方を向いたお地蔵様」が、特に霊的なエネルギーが強い場所として知られています。