三重県と奈良県の県境、布引山系の深い緑に抱かれるように、打ち捨てられたホームが静かに眠っています。「旧東青山駅」は、半世紀以上前に発生した日本の鉄道史に残る大惨事の記憶を刻む場所です。今はハイキングコースの一部となっていますが、夜な夜な犠牲者の霊が彷徨い、
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三重県と奈良県の県境、布引山系の深い緑に抱かれるように、打ち捨てられたホームが静かに眠っています。「旧東青山駅」は、半世紀以上前に発生した日本の鉄道史に残る大惨事の記憶を刻む場所です。今はハイキングコースの一部となっていますが、夜な夜な犠牲者の霊が彷徨い、訪れる者に悲劇の記憶を語りかけると噂されています。
噂される怪奇現象と有名な体験談
- 誰もいないはずのホームに、大勢の人の気配や話し声がする。
- 駅のホームやトンネルから、助けを求める叫び声やうめき声が聞こえる。
- 白い服を着た女性の霊が、ホームの端に佇んでいるのが目撃される。
- 懐中電灯の光が突然消えたり、電子機器が誤作動を起こしたりする。
- 写真を撮ると、無数のオーブや、窓、トンネルの闇に人の顔のようなものが写り込む。
- 深夜に訪れると、当時の事故を再現するかのような幻聴や幻覚を体験することがある。
ホームに響く犠牲者たちの声
この場所で最も多く報告されるのが、聴覚にまつわる怪奇現象です。特に夜間、静まり返ったホームに立つと、事故当時の阿鼻叫喚を思わせるような、多くの人々の叫び声や助けを求める声が聞こえてくると言われています。それは風の音とは明らかに異なり、耳元で生々しく響くため、多くの訪問者が恐怖のあまりその場を立ち去ったという体験談が後を絶ちません。
幻の列車と彷徨う霊
旧東青山駅のホームは、現在線路が撤去されていますが、深夜になると、存在しないはずの線路の上をヘッドライトが通過していく、という目撃談があります。また、事故で亡くなった乗客と思われる霊が、今も列車を待つかのようにホームを彷徨っている姿や、旧青山トンネルの入り口付近に立つ白い服の女性の霊なども噂されており、この場所がいかに多くの無念の思いに満ちているかを物語っています。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
旧東青山駅の成り立ち
旧東青山駅は、1930年(昭和5年)に開業した近畿日本鉄道(近鉄)大阪線の駅でした。駅の前後を急勾配とカーブの多い山岳路線とトンネルに挟まれた、山中の小さな駅でした。当時の近鉄大阪線における重要な拠点の一つとして機能していましたが、その運命を大きく変える出来事が起こります。
心霊スポットになった“きっかけ”
この場所が日本有数の心霊スポットとなったきっかけは、1971年(昭和46年)10月25日に発生した**「近鉄大阪線列車衝突事故」**です。特急列車が、ATS(自動列車停止装置)の故障により青山トンネル内で暴走・脱線し、対向の特急列車と正面衝突。死者25名、負傷者220名以上を出す大惨事となりました。この事故の犠牲者の多くが、この旧東青山駅のホームに一時的に安置されたと言われています。事故後、近鉄はより安全な新ルートへの切り替え工事を行い、1975年(昭和50年)に新青山トンネルと現在の東青山駅が開業。それに伴い、旧東青山駅と旧線路は廃止され、事故の記憶と共に深い山中に取り残されることになったのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 立入禁止の状況: 旧東青山駅の跡地は、現在「東青山四季のさと」という公園から続くハイキングコースの一部として整備されており、日中であれば誰でも訪れることができます。立入禁止ではありません。(2025年8月時点)
- 道の状態: 現在の東青山駅から旧駅跡地までは、舗装された遊歩道と階段が続きます。しかし、山道であるためアップダウンがあり、体力が必要です。
- 危険箇所: 旧駅ホームは苔むしており、雨天時や冬場は非常に滑りやすくなっています。ホームの端は柵がない場所もあり、転落の危険があります。旧青山トンネルの内部は封鎖されていませんが、照明がなく、内部の状態も不明なため立ち入りは極めて危険です。
- その他: 山中であるため、マムシやスズメバチ、野生動物(シカ、イノシシなど)との遭遇に注意が必要です。携帯電話の電波も不安定です。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 慰霊の気持ちを忘れない: この場所は単なる廃墟ではなく、多くの方が亡くなられた痛ましい事故現場です。肝試し気分で騒いだり、不謹慎な行動をとったりすることは絶対にやめてください。
- 夜間の訪問は避ける: ハイキングコースには街灯が一切ありません。夜間の訪問は道に迷ったり、転倒・滑落したりするリスクが非常に高く、極めて危険です。
- 適切な服装と装備で: 動きやすい服装と、滑りにくいトレッキングシューズは必須です。夏場は虫よけ、冬場は防寒対策を万全にしてください。
- ゴミは必ず持ち帰る: ハイキングコース内にゴミ箱はありません。自分が出したゴミは必ずすべて持ち帰ってください。
まとめ
旧東青山駅は、鉄道史に残る大事故の記憶を今に伝える場所であり、その悲劇的な背景から数多くの心霊の噂が生まれました。現在はハイキングコースとして整備されていますが、訪れる際は亡くなった方々への慰霊の念を忘れず、歴史と自然に敬意を払い、安全な日中に静かに散策することを強く推奨します。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- 総谷トンネル(青山トンネル): 旧東青山駅のすぐ西側にある、列車衝突事故の現場となった旧青山トンネル。現在はハイキングコースとして通り抜けが可能ですが、事故の記憶からか、内部で霊を目撃した、声を聞いたという体験談が絶えません。
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