もう一つの犬鳴伝説…義犬の悲劇と武士の霊が眠る「犬鳴山トンネル(大阪府)」 大阪府泉佐野市、うっそうとした木々に覆われた犬鳴山。その山中を貫く「犬鳴山トンネル」は、温泉地や修験道の聖地として知られる一方で、数々の怪奇現象が目撃される、大阪府南部を代表する心霊スポットです。
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もう一つの犬鳴伝説…義犬の悲劇と武士の霊が眠る「犬鳴山トンネル(大阪府)」
大阪府泉佐野市、うっそうとした木々に覆われた犬鳴山。その山中を貫く「犬鳴山トンネル」は、温泉地や修験道の聖地として知られる一方で、数々の怪奇現象が目撃される、大阪府南部を代表する心霊スポットです。有名な映画のモデルとなった福岡県の「犬鳴トンネル」としばしば混同されますが、こちらの大阪・犬鳴山にも、独自の悲しい伝説と、数多の霊の目撃談が存在します。
心霊スポットとしての犬鳴山トンネル:義犬の伝説と事故死者の霊
この峠道が心霊スポットとして語られる理由は、その土地が持つ複数の「死」の記憶にあります。一つは、その名の由来となった、猟師に殺された義犬の悲しい伝説。一つは、かつてこの地で命を落とした落武者たちの怨念。そしてもう一つが、急カーブが続くこの峠道で、現代に至るまで繰り返されてきた交通事故の犠牲者の霊です。様々な時代の無念の魂が、この山に渦巻いていると言われています。
歴史的背景:犬鳴山の「義犬伝説」
この地の「犬鳴」という名前の由来は、決して心霊現象から来たものではなく、以下のような悲しい伝説に基づいています。
平安時代、この山で狩りをしていた猟師が、連れていた愛犬がしきりに吠えるため、獲物に気づかれてしまうと怒り、その首を斬り落としてしまいました。しかし、犬の首は宙を舞い、今まさに猟師に襲いかかろうとしていた大蛇に噛みつき、主人の命を救ったのです。愛犬の忠義に気づいた猟師は、自らの行いを深く悔やみ、七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)の僧侶に供養を頼みました。以来、この山は犬の鳴き声を悼んで「犬鳴山」と呼ばれるようになったと言われています。
心霊スポットとしての噂は、自動車道としてトンネルが開通し、交通事故が多発するようになってから広まりました。
「犬鳴村伝説」との違い
全国的に有名な「法律が通じない犬鳴村」の都市伝説や、それをモデルにした映画は、福岡県にある旧犬鳴トンネルにまつわるものです。こちらの大阪府の犬鳴山トンネルとは、場所も由来も全く異なるため、混同しないよう注意が必要です。
怪奇現象・体験談:白いセダンと武者の霊
この大阪の犬鳴山トンネルでは、独自の怪奇現象が数多く報告されています。
- 白いセダンの霊 この場所を象徴する怪奇現象です。深夜、車でトンネルを抜けると、バックミラーに、存在しなかったはずの白いセダンがすぐ後ろに映り込んでいると言います。恐怖を感じて目を離した隙に、その姿はかき消えるように消え失せます。
- 女性の霊 トンネルの入り口や、峠道の途中で、髪の長い女性の霊がたたずんでいる姿が目撃されています。この峠で事故死した、あるいは身を投げた女性の霊ではないかと噂されています。
- 甲冑姿の武士の霊 犬鳴山は、南北朝時代の古戦場でもあったとされ、深夜に甲冑を身に着けた落武者の霊が、森の中を徘徊しているという目撃談も後を絶ちません。
現地の状況・注意事項:現役の峠道と夜間の危険
- 現在の状況 犬鳴山トンネルは、現在も大阪府道241号線として、多くの車が行き交う現役の道路です。しかし、道幅は狭く、急なカーブが連続するため、運転には注意が必要です。夜間は街灯も少なく、不気味な雰囲気に包まれます。
- 立ち入り禁止区域 公道であり、立ち入り禁止区域は特にありません。しかし、脇道や森の奥深くへむやみに立ち入るべきではありません。
- 安全上の注意点 心霊現象以前に、交通事故の危険性が高い場所です。夜間はスピードを出す「走り屋」が現れることもあり、トラブルや事故には最大限の注意が必要です。
- マナー・ルール ここは多くの人が利用する公道です。大声で騒いだり、ゴミを捨てたりする行為は厳禁です。
訪問のポイント
- おすすめの時間帯 心霊スポットとしての雰囲気を味わいたいのであれば深夜となりますが、前述の通り多くの危険が伴います。
- 周辺の関連スポット
- 旧はや山荘 大阪府大東市にある、一家惨殺の噂が囁かれる最恐の廃墟。白いワンピースの少女の霊で知られ、関西の廃墟系心霊スポットの頂点に君臨しています。
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- 十三峠 大阪府と奈良県の境に横たわる峠道。古戦場の歴史と事故多発地帯という二つの顔を持ち、武士の霊や白い服の女の霊など、数多くの怪談が語られています。
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