【静岡】稲取廃隔離病棟…伊豆の森に響く患者の呻き、禁断の医療廃墟 静岡県東伊豆町の深い森の中に、かつて訪れる者を震撼させた、小さな医療施設の廃墟がありました。通称「稲取(いなとり)廃隔離病棟」。ここは、かつて伝染病患者が社会から隔絶され、絶望の中で死んでいった場所と噂され、その苦悶の記憶が、
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【静岡】稲取廃隔離病棟…伊豆の森に響く患者の呻き、禁断の医療廃墟
静岡県東伊豆町の深い森の中に、かつて訪れる者を震撼させた、小さな医療施設の廃墟がありました。通称「稲取(いなとり)廃隔離病棟」。ここは、かつて伝染病患者が社会から隔絶され、絶望の中で死んでいった場所と噂され、その苦悶の記憶が、今もなお、この地に怨念となって渦巻いていると言われていました。今はもうその姿を消した病棟から、あなたは“何か”の声を聞くことになるかもしれません。
噂される怪奇現象と有名な体験談
廃墟であった当時、この場所では、その悲惨な歴史を物語るかのような、数々の心霊現象が報告されていました。
- 誰もいないはずの病室から、患者の苦しそうなうめき声や、「助けて」という声が聞こえる。
- 廊下を、白い患者衣を着た人影が徘徊している。
- 窓ガラスに、内側から付けられたかのような、無数の血の手形が付着している。
- 敷地内にある慰霊碑の写真を撮ると、必ず心霊写真になる、あるいは祟りがある。
- 建物に近づくと、急激な頭痛や吐き気、そして強烈な腐敗臭がする。
- 撮影した写真に、おびただしい数のオーブや、窓からこちらを覗く顔が写り込む。
最も有名な伝説「隔離された魂たちの叫び」
この廃墟を、伊豆半島でも屈指の心霊スポットたらしめていたのが、「隔離された患者たちの霊」の伝説です。その昔、ここは結核などの重い伝染病を患った人々が、家族や社会から引き離され、死を待つためだけに収容された場所でした。
十分な治療も受けられず、絶望の中で亡くなっていった患者たちの魂は、今も成仏できずにこの病棟に留まっていると噂されていました。「深夜、固く閉ざされた病室の一つから、激しく咳き込む音と、ベッドがきしむ音が聞こえた」「廊下の奥の暗がりから、何人もの患者たちが、こちらに手を伸ばしながら迫ってきた」など、彼らの深い苦しみと無念を感じさせる、あまりにも生々しい恐怖体験が数多く報告されていました。
禁断の実験と慰霊碑の謎
この病棟には、さらに暗い噂も存在します。それは、収容された患者たちを実験台として、非人道的な医療実験が行われていた、というものです。
敷地内にひっそりと佇む慰霊碑は、表向きは病死した患者を弔うためのものですが、その実態は、医療実験の犠牲となった魂を封じ込めるための“呪物”であると囁かれています。「慰霊碑に触れた後、毎晩、白衣の男に注射を打たれる悪夢を見るようになった」「慰霊碑の周りだけ、夏でも異常に気温が低い」といった体験談もあり、この場所の闇の深さを物語っていました。
この場所に隠された歴史と呪われた背景
稲取廃隔離病棟の成り立ち
「稲取廃隔離病棟」として知られていたこの建物は、正式には「(旧)賀茂郡隔離病舎」であり、その名の通り、かつてこの地域に存在した伝染病患者のための隔離・治療施設でした。結核や赤痢といった、当時は死に至る病であった伝染病の蔓延を防ぐため、大正時代から昭和にかけて、日本各地に同様の施設が建設されました。
人里離れた山中に建てられたのも、病気の感染拡大を防ぐためでした。医療の進歩と共に、その役目を終え、閉鎖。その後、長らく利用されることもなく、伊豆の森の中に打ち捨てられ、巨大な廃墟と化していきました。
心霊スポットになった“きっかけ”
この場所が心霊スポットになったきっかけは、「隔離病棟」という、その成り立ちそのものにあります。
「非人道的な実験があった」という噂を裏付ける公的な記録はありません。 しかし、かつて「不治の病」と恐れられた伝染病に罹患し、家族や社会から強制的に引き離され、この場所で孤独な最期を迎えた人々が実際に存在したことは、歴史的な事実です。
この、**「望郷の念を抱いたまま、絶望の中で死んでいった」**という、あまりにも悲しく、そしてリアルな記憶。そのおびただしい数の魂の苦しみが、この土地に深く刻み込まれていると、人々は感じたのです。廃墟に残された、錆びついたベッドや医療器具が、その悲劇の記憶をより一層、生々しく、そして恐ろしいものとして、訪れる者の心に突きつけてきたのです。
【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか
単なる古い医療施設の廃墟が、なぜこれほどまでに人々を恐怖させたのでしょうか。それは、この場所が**「社会から忘れ去られた人々の、悲しみの終着駅」**であったからです。
- 歴史的要因: この場所の恐怖は、「伝染病」という、かつて日本中を覆った“リアルな死の恐怖”の記憶に根差しています。今でこそ治療法が確立された病も、当時は死の宣告に等しいものでした。家族と会うことも許されず、社会から存在を抹消されたかのように、この場所で孤独に死んでいった人々の無念。その歴史の真実が、この廃墟に、他のどんな場所にもない、深く、そして重い負のオーラを与えていたのです。
- 地理的・環境的要因: **人里を遠く離れた、深い森の中に孤立して建つ病棟。**この「隔絶された」ロケーションは、隔離という言葉の意味を、物理的にも心理的にも痛感させます。夜になれば、周囲は完全な闇と静寂に包まれ、風が木々を揺らす音や、建物の軋む音だけが、まるで患者の呻き声のように響き渡ります。
- 心理的要因: 「病院」は、多くの人々が「病」や「死」への不安を感じる場所です。それが**「隔離病棟」**となれば、その恐怖はさらに増幅されます。「見捨てられた」「忘れられた」という、人間の根源的な孤独への恐怖。訪れる者は、廃墟に残されたベッドの一つ一つに、かつてそこで息を引き取ったであろう、名もなき患者の最後の瞬間を想像してしまいます。その強い共感と哀れみの感情が、心霊体験の引き金となっていたのです。
探索の注意点
現在の状況と物理的な危険性
- 【最重要】建物は全て解体済み: 心霊スポットとしてあまりにも有名になった「稲取廃隔離病棟」ですが、長年の放置による老朽化と、不法侵入者の問題などから、2013年頃に完全に解体・撤去されました。現在は更地になっており、当時の面影は一切残っていません。
- 私有地・立入禁止: 跡地は現在も私有地であり、関係者以外の立ち入りは固く禁じられています。
- 周辺道路: 跡地に至る道は、細い山道であり、車両での通行には注意が必要です。
訪問時の心構えと絶対的なルール
- 絶対に不法侵入しない: 建物はもう存在せず、跡地は管理された私有地です。興味本位で立ち入ることは、住居侵入罪(建造物等侵入罪)にあたる犯罪行為です。
- ネットの古い情報を鵜呑みにしない: 現在も廃墟が存在するかのような古い情報や動画を信じて、危険な山道に無駄足を踏まないようにしてください。
- 故人への敬意: この場所で、実際に病と闘い、亡くなった数多くの方々がおられます。不謹慎な言動や、面白半分の探索は厳に慎んでください。
まとめ
稲取の森に眠っていた廃隔離病棟は、病という運命と闘い、社会から忘れ去られていった人々の、悲しみの記憶そのものでした。建物が解体された今、そこに囚われていたとされる魂たちが、ようやく安息を得られたのだと信じたいものです。
このスポットの近くにある、もう一つの恐怖
- 旧天城トンネル(きゅうあまぎとんねる) 稲取廃隔離病棟跡地と同じく、伊豆半島に存在する、日本を代表する心霊トンネル。明治時代に造られた美しい石造りのトンネルですが、内部では、建設工事の犠牲者とされる工夫の霊や、トンネルの中を彷徨う旅人の霊が目撃されると言われています。川端康成の『伊豆の踊子』の舞台でもあり、文学的な情緒と、歴史の闇が交錯する場所です。
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