東京・池袋のランドマークとして知られる「サンシャイン60」。水族館や展望台、ショッピングセンターが集まるこの巨大複合都市は、日々多くの人々で賑わう活気あふれる場所です。しかし、その華やかな現代建築が立つ土地には、かつてA級戦犯たちが処刑された「巣鴨プリズン」が存在していました。
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東京・池袋のランドマークとして知られる「サンシャイン60」。水族館や展望台、ショッピングセンターが集まるこの巨大複合都市は、日々多くの人々で賑わう活気あふれる場所です。しかし、その華やかな現代建築が立つ土地には、かつてA級戦犯たちが処刑された「巣鴨プリズン」が存在していました。この日本近代史の暗い記憶が刻まれた場所であることから、サンシャイン60は都内でも屈指のミステリアスなスポットとして知られています。その心霊現象の噂は、単なる怪談ではなく、土地の重い歴史と分かちがたく結びついているのが最大の特徴です。
歴史的背景
場所の歴史
この土地の歴史は、明治時代にまで遡ります。1895年に警視庁の監獄として設立されて以来、「巣鴨監獄」「巣鴨刑務所」そして「東京拘置所」と名称を変えながら、一貫して国家の刑罰施設として利用されてきました。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍総司令部)に接収され、戦争犯罪人を収容するための「巣鴨プリズン」へと姿を変えます。ここで極東国際軍事裁判(東京裁判)の判決が下され、1948年12月23日、東條英機元首相ら7名のA級戦犯が処刑されました。その後、1958年に最後の戦犯が釈放され刑務所は閉鎖。1971年に建物は解体され、その跡地に日本の経済成長を象徴する巨大プロジェクトとしてサンシャインシティが建設され、1978年に開業しました。
心霊スポット化の経緯
心霊スポットとしての知名度は、この土地が持つ特異な歴史に直接起因します。国家の指導者たちが処刑されたという強烈な歴史を持つ場所に、未来と繁栄の象徴である「サンシャイン」と名付けられた超高層ビルが建てられたという、光と影のあまりにも極端な対比が、人々の想像力を掻き立てました。建設中から事故が絶えなかったという噂も広まり、開業後、巣鴨プリズンの記憶と結びついた不可解な現象が語られ始め、インターネットの普及と共に、その噂は都市伝説として確固たるものとなっていきました。
怪奇現象・体験談
主な現象の種類
- 人影や火の玉の目撃: サンシャイン60の展望台やオフィスフロアで、誰もいないはずの場所に人影が現れたり、説明のつかない火の玉が目撃されたりするという噂があります。
- 地下トイレの怪奇現象: 特に有名なのが、サンシャインシティ地下にあるトイレでの怪現象です。誰もいない個室から水が流れる音が聞こえる、といった報告が多数寄せられています。
- 不気味な雰囲気: 建物全体、特に地下階や隣接する公園では、理由もなく重苦しい空気や不穏な気配を感じるという声が絶えません。
代表的な体験談
サンシャインシティの地下トイレ(旧東急ハンズ周辺と噂される)での体験談は非常に具体的です。深夜の清掃員や警備員が、人の出入りが全くないにもかかわらず、個室の洗浄音が鳴り響く現象に何度も遭遇したという話は、この場所の代表的な怪談となっています。また、巣鴨プリズンにあったとされる「13号扉」という処刑場への入口にまつわる伝説も根強く、その扉の周辺では今も霊的な現象が起きると信じられています。
地元の伝承
この場所に古くから伝わる伝承というよりは、巣鴨プリズンという近代史の事実に根差した「現代の都市伝説」がその中心です。処刑された人々の無念の魂が、今もこの土地を彷徨っていると信じられており、語られる怪奇現象のほとんどが、その霊たちの仕業であると解釈されています。
メディア・文献情報
テレビ番組での紹介歴
心霊現象そのものを検証するような有名テレビ番組で大々的に取り上げられたという記録は確認しづらいですが、巣鴨プリズンの歴史的背景については、ドキュメンタリー番組などで度々触れられています。
書籍・雑誌での掲載歴
都市伝説や東京の心霊スポットを特集する書籍や雑誌では、必ずと言っていいほど取り上げられる定番の場所です。その多くが、巣鴨プリズンの歴史と怪奇現象を結びつけて解説しています。
ネット上での話題性
インターネット上では、日本で最も有名な心霊スポットの一つとして絶大な知名度を誇ります。個人の体験談を綴ったブログや、心霊現象を考察するウェブサイト、YouTube動画などが無数に存在し、今なお新たな情報や噂が拡散され続けています。
現地の状況・注意事項
現在の建物・敷地の状態
サンシャインシティは現在も活気あふれる大規模商業施設として運営されています。かつての処刑場があったとされる場所は、隣接する区立「東池袋中央公園」として整備されており、市民の憩いの場となっています。
立入禁止区域の有無
施設や公園は公共の場所であり、営業時間内であれば誰でも自由に出入りできます。特別な立入禁止区域はありません。
安全上の注意点
日夜多くの人が行き交う場所であり、安全上の特筆すべき危険はありません。ただし、夜間の公園は人通りが少なくなるため、単独での訪問は避けた方が賢明です。
マナー・ルール
サンシャインシティは商業施設、東池袋中央公園は公共の公園です。心霊スポットという側面はあっても、肝試し気分で騒いだり、他の利用者の迷惑になるような行為は厳に慎むべきです。特に公園内には慰霊碑があり、過去の歴史に敬意を払った静かな行動が求められます。
訪問のポイント
おすすめの時間帯・季節
サンシャインシティは屋内施設のため、季節や天候を問わず楽しめます。歴史に触れたいのであれば、日中の明るい時間帯に東池袋中央公園を訪れ、静かに慰霊碑を見学するのがよいでしょう。
周辺の関連スポット
- 東池袋中央公園内の「永久平和を願って」の碑: かつての処刑場跡地に建てられた慰霊碑です。この場所が持つ歴史の重みを今に伝える唯一の公式なモニュメントであり、訪れる際には必ず立ち寄りたい場所です。今なお、タバコや飲み物などのお供え物が絶えません。