2020年に惜しまれつつ94年の歴史に幕を閉じた、東京都練馬区の遊園地「としまえん」。数々の人気アトラクションの中でも、園内の奥にひっそりと佇んでいた「お化け屋敷」は、単なる遊園地の施設という枠を超え、「本物の幽霊が出る」という噂で全国的に知られた心霊スポットでした。
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2020年に惜しまれつつ94年の歴史に幕を閉じた、東京都練馬区の遊園地「としまえん」。数々の人気アトラクションの中でも、園内の奥にひっそりと佇んでいた「お化け屋敷」は、単なる遊園地の施設という枠を超え、「本物の幽霊が出る」という噂で全国的に知られた心霊スポットでした。その心霊現象の噂は、古さや不気味な雰囲気からくるものではなく、「火の玉が飛ぶ」「少女の霊が目撃される」といった非常に具体的なもので、多くの来園者の記憶に恐怖と共に刻み込まれています。
歴史的背景
場所の歴史 としまえんには、心霊スポットとして噂される恐怖系アトラクションが複数存在しました。特に有名だったのが、1972年に開業した歩行型の「お化け屋敷」と、1966年開業のライド(乗り物)型アトラクション「ミステリーゾーン」です。どちらも数十年にわたって運営され、その長い歴史と昭和の時代を感じさせる古びた佇まいが、数々の怪談が生まれる土壌となりました。これらの施設は、2020年8月31日のとしまえん閉園と共にその役目を終えました。
心霊スポット化の経緯 この場所が心霊スポットとして語られるようになったのは、開業からさほど時間が経たないうちから囁かれ始めた「本物が出る」という噂がきっかけです。特に、お化け屋敷で「本物の火の玉が目撃された」という話は有名で、過去には新聞で取り上げられるほどの騒ぎになったこともあったと言われています。長年にわたり、来園者たちの間で口コミとして広まり、世代を超えて語り継がれることで、いつしか「としまえんのお化け屋敷は本当に危ない」という都市伝説が定着しました。その噂は従業員の間でも知られており、ある元心霊ライターが受付スタッフに噂の真偽を尋ねたところ、「今でもいますよ!」と明るく返されたという逸話も残っています。
怪奇現象・体験談
主な現象の種類
- 火の玉の目撃: お化け屋敷の内部で、青白い火の玉が浮遊しているのが目撃されたという噂が最も有名です。
- 少女や少年の霊: 白い服を着た少女の霊や、少年の霊がアトラクション内に現れるという目撃情報が多数ありました。
- ミラーハウスの霊: お化け屋敷だけでなく、園内の「ミラーハウス」も心霊スポットとして知られ、鏡の中に少女の霊が現れ、追いかけてくる、閉じ込められてしまうといった噂がありました。
- 古い洋館の怪異: 映画『としまえん』のモチーフにもなった「古い洋館(ミステリーゾーン)」では、過去に事件があったため閉鎖されたという噂や、幽霊の目撃談が絶えませんでした。
代表的な体験談 数十年前、お化け屋敷で火の玉が頻繁に目撃され、地元の新聞沙汰にまでなったという話は、この場所の恐怖を象徴するエピソードとして語り継がれています。また、閉園間際に訪れた客が、お化け屋敷の仕掛けではない不自然な人影や、誰もいないはずの場所からの視線を感じたという体験談も数多く報告されています。
地元の伝承 としまえんのお化け屋敷には、土地に古くから伝わる伝承はありません。ここで語られる怪談はすべて、遊園地という多くの人々の想いが交錯する場所で、数十年の時を経て自然発生的に生まれた「現代の都市伝説」です。
メディア・文献情報
テレビ番組での紹介歴 全国的に有名な心霊番組で大々的に取り上げられた記録は少ないものの、その知名度の高さから、都市伝説を扱う番組や雑誌では頻繁に言及されてきました。
書籍・雑誌での掲載歴 東京の心霊スポットや怖い噂を特集する書籍や雑誌では、必ずと言っていいほど登場する定番の場所でした。
ネット上での話題性 インターネット上での知名度は絶大で、数多くの心霊サイトやブログで体験談が語られていました。2019年には、これらの都市伝説をモチーフにしたホラー映画『としまえん』が公開され、再び大きな話題を呼びました。
現地の状況・注意事項
現在の建物・敷地の状態 としまえんは2020年8月31日に閉園し、お化け屋敷を含むほとんどのアトラクションは解体されました。跡地は再開発され、2023年6月には「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が、同年5月には「練馬城址公園」の一部が開園し、全く新しい姿に生まれ変わっています。
立入禁止区域の有無 お化け屋敷は現存しないため、立ち入ることはできません。跡地は新しい施設の敷地となっています。
安全上の注意点 跡地は安全に整備された新しい施設ですので、特筆すべき危険はありません。
マナー・ルール 現在は世界的な人気を誇るエンターテイメント施設と、公共の公園になっています。過去の噂を思い浮かべるのは自由ですが、新しい施設のルールとマナーを守って楽しむことが求められます。
訪問のポイント
おすすめの時間帯・季節 お化け屋敷そのものを訪れることは叶いませんが、跡地に建てられた「スタジオツアー東京」や「練馬城址公園」を訪れ、かつてこの場所に存在した伝説の遊園地に思いを馳せることはできます。
周辺の関連スポット
- ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター: としまえん跡地の主要施設。
- 練馬城址公園: 同じく跡地に整備された公園。
- 西武園ゆうえんち: ライド型お化け屋敷だった「ミステリーゾーン」が移設され、現在も稼働しています。としまえんの恐怖の記憶の一部を体験したいのであれば、こちらを訪れるのも良いでしょう。