【山梨・呪いの池】すずらん池…水面から伸びる“地獄の手”、老婆の霊が誘う水底

山梨県北杜市、八ヶ岳の麓に、その可憐な名前とは裏腹に、おぞましい伝説が眠る池があります。「すずらん池」。ここは、かつて入水自殺した老婆の怨念が渦巻き、夜な夜な、湖面から“呪いの手”が伸びてきて、生きている人間を水底へと引きずり込むと噂される、山梨県屈-指の水辺の心霊スポットです。

噂される怪奇現象と有名な体験談

古くからの伝説と、現代の怪談が交錯するこの場所では、その歴史を物語るかのような、数々の心霊現象が報告されています。

• 深夜、池の水面から、着物の袖をまとった青白い“手”が、何本も伸びてくる。
• 池のほとりや、アシの茂みの間に、腰の曲がった老婆の霊が佇んでいる。
• 誰もいないはずなのに、池の中から、女性のすすり泣きや、子供の泣き声が聞こえる。
• 池に自分の姿を映すと、そのまま魂を抜かれ、水の中に引きずり込まれそうになる。
• 敷地内に足を踏み入れると、急激な頭痛や吐き気、そして強い悪寒に襲われる。
• 撮影した写真に、おびただしい数のオーブや、水面に浮かぶ苦悶の表情が写り込む。

最も有名な伝説「地獄に誘う“呪いの手”」

このすずらん池を、全国区の心霊スポットへと押し上げたのが、怪談の巨匠・稲川淳二氏によっても語られた、「水面から伸びる手」の伝説です。その昔、人生に絶望したある老婆が、この池に身を投げて命を絶ちました。

それ以来、彼女の無念の魂は成仏できず、丑三つ時になると、水底から、着物の袖に包まれたままの、青白い手を伸ばし、生きている人間を道連れにしようと手招きするというのです。「深夜、池のほとりに立つと、静かだった水面が突然波立ち、中央から、白い着物の袖と、こちらを掴もうとする手首が、ゆっくりと現れた」「池の底に引きずり込まれるような、強烈な金縛りにあった」など、あまりにも直接的で、強烈な恐怖体験が数多く報告されています。

彷徨える母子の霊

この池には、老婆の霊だけでなく、「母子の霊」も出没すると言われています。これは、かつて育てることができなくなった我が子を、この池に捨てた（あるいは、共に身を投げた）母親の霊であると囁かれています。

「夜釣りをしていると、背後の茂みから、幼い子供が『ママ…』と泣きじゃくる声が聞こえてきた」「池のほとりを、赤ん坊を抱いた若い女の霊が、ふらふらと歩いていた」といった、物悲しい目撃談もあります。この池に渦巻く怨念は、決して一つではないのかもしれません。

この場所に隠された歴史と呪われた背景

すずらん池の成り立ち

「すずらん池」は、山梨県北杜市小淵沢町に存在する、農業用の溜池（ためいけ）です。その正確な造成時期は不明ですが、昭和から平成にかけて、地域の農業を支える水源として利用されてきました。

平成14年（2002年）には、池の周辺が公園として再整備され、春には桜、秋には紅葉が美しい、景勝地として知られるようになりました。その名の通り、かつてはスズランが咲き誇っていたとも言われています。

心霊スポットになった“きっかけ”

この美しい景勝地が心霊スポットとなった背景には、**「実際にこの場所で、自殺や水難事故が起きた」**という、地元での根強い伝承があります。

**「老婆が入水自殺した」という、この場所の恐怖の核心をなす物語は、地元では古くから語り継がれてきました。この「おびただしい数の、死の記憶」**が、元々「池」という場所が持つ、水底への恐怖と結びついたのです。

そして、そのイメージを決定的なものにしたのが、怪談家・稲川淳二氏が語った「地獄に誘う呪いの手」のエピソードでした。この影響力のある怪談によって、すずらん池は、「老婆の霊が出る」「水の中から手が伸びる」という、具体的で恐ろしいイメージと共に、全国的に有名な心霊スポットとして定着していったのです。

【管理人の考察】なぜこの場所は恐れられるのか

単なる溜池が、なぜこれほどまでに恐れられるのでしょうか。それは、この場所が**「怪談の力」と「自然の不気味さ」**が、完璧に融合した場所だからです。

• 歴史的要因/文化的要因： この場所の恐怖は、**「稲川淳二の怪談」**という、極めて強力な文化的背景に根差しています。彼の語り口を知る者にとって、この池は、もはや単なる溜池ではありません。それは、あの恐怖の物語が、現実として立ち現れる“舞台装置”なのです。訪れる者は、自らが怪談の登場人物になったかのような、強烈な没入感を体験します。
• 地理的・環境的要因： 八ヶ岳の麓、山中にひっそりと存在する、静まり返った池。 昼間は美しい景観も、夜になれば、周囲は完全な暗闇に包まれます。水草が生い茂る、澱んだ水面は、それ自体が「水底に何かが潜んでいるのではないか」という、本能的な恐怖を掻き立てます。風のない夜、鏡のように静まり返った暗い水面は、「何か」が浮かび上がってくるのを、待っているかのようでもあります。
• 心理的要因： 「水面から手が伸びてくる」。このイメージは、水辺の心霊スポットにおいて、最も強烈で、原始的な恐怖の一つです。この先入観を持って夜の池畔に立つと、人は水面の僅かな揺らめきや、水草の影さえも、**「老婆の手」**として、脳が積極的に恐怖の物語と結びつけてしまいます。「子供を捨てた母親」の伝説もまた、訪れる者の同情心と罪悪感を刺激し、霊的な存在を感じやすい心理状態へと導くのです。

探索の注意点

現在の状況と物理的な危険性

• 立入可能な公園: すずらん池および周辺は、公園として整備されており、誰でも訪れることができます。
• 【最重要】夜間は完全な暗闇で危険: 公園内に街灯はほとんどなく、夜は完全な暗闇です。遊歩道は舗装されておらず、足元が悪いため、池への転落の危険性が非常に高いです。
• 遊泳・釣りは禁止: 池での遊泳や釣りは禁止されています。
• 野生動物との遭遇: 周辺は山林であるため、熊やイノシシ、シカなどの危険な野生動物と遭遇する可能性があります。

訪問時の心構えと絶対的なルール

• 故人への敬意を最優先に: この場所で亡くなったとされる方々の噂があります。不謹慎な言動や挑発行為は、故人を冒涜する許されざる行為です。
• 絶対に水際に近づかない: 特に夜間は、自分の位置感覚が不確かになります。面白半分で水面を覗き込んだり、水際に立ったりする行為は、命に関わる危険な行為です。
• 夜間の訪問は避ける: 物理的な危険性が高すぎるため、夜間の訪問は絶対に避けるべきです。
• 火気厳禁: 公園内、特に草木の多い場所での火の使用は、火災の原因となり大変危険です。

まとめ

すずらん池は、美しい自然の仮面の下に、一人の老婆の、そして名もなき多くの魂の、あまりにも深い絶望を隠し持つ場所です。水面から伸びる手は、本当にあなたを誘っているのでしょうか。それとも、この悲しい物語を知ってしまった、あなたの心が映し出す、ただの幻影なのでしょうか。

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